【子どもの貧困を考える】「校納金」負担減を模索 福岡市 節約や行事見直し 市教組 就学援助率上昇受け

 生活が苦しい小中学生を対象に、自治体が給食費や学用品代を支援する就学援助制度を利用する家庭が増えている。貧困世帯の増加が背景にあり、4月からの消費税率アップも家計を直撃しそうだ。義務教育にもかかわらず発生する私費負担をどう軽減していくのか。福岡市の学校現場を例に考えてみた。

 今でも思い出すと切なくなる。福岡市内の小学校で事務職員を務める女性(45)は、十数年前に経験した出来事が忘れられない。

 習字道具を毎回忘れる男児がいた。担任が注意しても改まらない。その子が就学援助を受けていたことを知っていたので、事情を聴いてみると…。

 「赤のケースやけん、ばかにされるから」。中学生になった姉のお下がりで、母親から「これで我慢しなさい」と言われていた。

 ただ、黒や青のケースを買ってほしいとは言えなかった。家計が厳しいことを心配していたからだ。「生活が苦しいからといって学ぶ場で子どもたちに寂しい思いをさせたくない」。その女性は心に誓った。

 ■ ■

 小中学校では「校納金」という形でさまざまな私費負担が生じる。義務教育だから学校生活の費用は全て公費で賄うべきだという考えもあるが、財政難の自治体は予算が潤沢ではない。

 そこで福岡市の場合、教職員組合が2012年度から、庶務や財務を担当する学校事務職員が中心となって、校納金の徴収を抑える取り組みを続けている。

 例えば、筆や文鎮を持ち帰る習字道具セットは「個人的に使える」との理由で私費負担になっていた。このうち筆などを単品で学校が一括購入し、授業の時だけ提供すれば備品として公費で賄える。音楽鑑賞で有料コンサートに連れていく代わりに、警察や消防の音楽隊に頼めば無料で済む。

 市教組の担当者は「思いついた節約術は何でもやってみる。よければ学校間で情報共有する。1円でも私費負担を少なくしたい」と力を込める。

 ■ ■

 文部科学省によると、就学援助制度の支給対象者の割合は12年度に15・64%となり、過去最高を更新。1995年度の調査開始以来、17年連続で上昇した。

 一方で2014年度以降、援助対象が徐々に狭まることが懸念される。支給対象の基準となる生活保護制度の「最低生活費」を、国が昨年夏から段階的に切り下げているからだ。

 就学援助制度の対象は世帯の年収で決まる。福岡市の場合、4人家族で最低生活費(基準額)の1・25倍となる年収450万円以下が受給ライン。市学事課は「(激変緩和措置で)14年度は引き下げないが、15年度以降はどうなるか分からない」という。

 家庭の経済状況に左右されない義務教育の環境をいかに守るか。長崎大の小西祐馬准教授(児童福祉)は「各自治体は教育の機会均等を保障してきた就学援助の役目を十分に認識し、その機能を後退させるのではなく、利用しやすい制度にしていくことが求められる」と指摘している。

    ×      ×

【ワードBOX】就学援助制度

 学校教育法19条に基づき、経済的に困窮している家庭の小中学生に市町村が費用を支給する。授業で使う画板やテストなど学用品代や給食費、修学旅行の積立金などが援助される。文部科学省によると、2012年度に生活保護を受ける「要保護世帯」と生活保護を受けていないが生活が苦しい「準要保護世帯」の児童・生徒は全国で155万2023人。「三位一体の改革」で05年度から準要保護世帯の就学援助費への国庫補助が廃止され、財政難から認定基準を厳格化する自治体が出ている。

=2014/03/08付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ