【震災3年 もしもに備えて】<1>防災教育 家族でマップづくり

親子が参加した地域防災マップづくり。家庭版を親子でやってみる方法もある=大分県臼杵市の臼杵小学校 拡大

親子が参加した地域防災マップづくり。家庭版を親子でやってみる方法もある=大分県臼杵市の臼杵小学校

 東日本大震災から3年。教訓を未来にどうつなげるのか。生活面では今日から土曜日まで、お年寄りや育児中の家族など災害弱者に焦点を当てた「もしも」の備えを考える。

 震災後、学校では防災教育のあり方を見直す動きが広がった。学びの場は学校ばかりではない。家庭での防災教育はどう取り組めばいいのか。南海トラフ地震にも備え、防災教育に取り組む大分県臼杵市の住民たちに話を聞いた。

 「親子でまず、一緒に避難ルートを確認し、走ってみよう」。臼杵小学校のPTA会長、塩崎洋一さん(48)はそう話す。避難場所を知っていても、実際にそこまで走ってみたことがある人は少ないだろう。

 校区は海沿いにあり、官公庁や住宅がひしめく密集地。塩崎さんは2年前の秋、小学生の長男と一緒に、ストップウオッチを手に、地区避難所である高台の臼杵城址まで息を切らして走った。「運動しながら地域を再発見でき、親子の絆も深まる」。城址にあるジャングルジムを「一家の集合場所」に決めた。

 「家庭の防災マップづくり」を提唱するのは、臼杵小の防災教育にも関わる大分大工学部の小林祐司准教授(40)。取材に訪れた日は、学校に親子が集まり、地域の危険箇所などを洗い直す「地域防災マップ」づくりのワークショップが開かれていたが、その家庭版を親子でつくってみようという。

 家のたんすや冷蔵庫は倒れないか、逃げ道に障害物はないか…。親子で掃除がてら話し合い、家の見取り図にマークしていく。「家族という身近な集団をどう守るか。その中にいろんなヒントが含まれている」。家の中の点検から、街角のブロック塀、自動販売機などにも視点を広げ、防災・減災意識を高めていくきっかけになるという。

 ただ、家庭で説教じみた話をしようとしても、親子とも照れくさい。小林准教授は「クイズ形式の対話」を勧める。食事中、就寝中、親の不在時など、具体的な場面を想定して、子どもにクイズを出し、対話につなげる手法だ。ワークショップに参加した主婦(42)も「車に一緒に乗っている時、さりげなく『もしも』のクイズを出している」。賞味期限切れを避けるためにも、非常食を家族で食べながら話すと、より現実感が増すという。

 地域の災害史、大震災の教訓を子どもに語り聞かせることも大切だ。だが、どう伝えるか、年齢や性格によっても対応は異なる。恐怖心をあおるのも本意ではない。小林准教授は「子どもは怖がることを恥ずかしがる傾向にもあり、『正しく怖がる』ことを伝えることが大切だ」と言う。

 東日本大震災では、マニュアルの限界も浮き彫りになった。定められた点呼の省略、行政指示をうのみにせず、避難して救われた命も少なくなかった。「自ら考え、行動する力」「批判的に物事を考えてみる力」などが問われる形にもなっている。

 小林准教授は「この子は(災害時)一人であっても大丈夫。そう思える親子の信頼関係を築くことが、地域防災の共助につながる」と話した。


=2014/03/11付 西日本新聞朝刊=

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