【震災3年 もしもに備えて】<2>食物アレルギー 1週間分は備蓄して

小麦、卵、乳製品アレルギーの人が食べることができる米粉で作った乾パン 拡大

小麦、卵、乳製品アレルギーの人が食べることができる米粉で作った乾パン

 災害が起きて普段通りの食生活ができなくなったときに、食物アレルギーのある人はどう対応すればいいのか。原因食材を取り除いた対応食品を備蓄したり、自炊する調理器具を準備したり…。さまざまな「もしも」の備えがある一方で、普段からアレルギーの話をして周囲の理解を深めておくことも鍵を握りそうだ。

 東日本大震災直後に避難所で配られた支援物資は、菓子パンが中心だった。炊き出しでも、ご飯にゴマなどが振り掛けられ、みそ汁には魚介や肉類が入り、アレルギーのある人は食べられないケースが相次いだ。せっかく届いた缶詰も原材料表示がないものもあり、味付けされていないおにぎりだけを食べ続けた人もいたという。

 福岡市博多区上川端町でアレルギー対応食品の専門店「Smiley・Club」を営む安部聡美さん(52)は「誰もが我慢を強いられ、自由の利かない避難所でアレルギーの対応をしてもらうのは不可能に近い。炊き出しは食べられない前提で、自分が食べられる食品を備蓄した方がいい」と助言する。

 ■対応食品届くまで

 卵、乳製品、小麦、そば、ピーナツ、甲殻類などアレルギーを引き起こす「アレルゲン」は人によって異なる。米粉の乾パン、でんぷんやメープルシュガーを組み合わせたクッキー、アワとキビだけを原料にした乾麺…。専門店では工夫を凝らしたきめ細かな食品が用意されている。

 東日本大震災では「アレルギーの会全国連絡会」を通じて、対応食品が避難所に届くのに1週間程度かかった。そこで備蓄は1週間分が目安となる。

 安部さんによると「水を加えただけで食べられるアルファ米やレトルトかゆがあるだけでも便利」で、カセットこんろやアウトドア用の調理器具の用意も大切という。

 ■注射薬も準備必要

 とはいえ、着の身着のままで避難所に逃れた場合はどうするか。善意で寄せられた支援物資を「アレルギーがあるので食べられない」とは言いにくいだろう。

 全国連絡会によると、東日本大震災の際、避難所で配給された食品が袋から小分けして配られたことがあった。原材料が分からなくなり、ある母親が「原材料を教えてほしい」と担当者に申し出ると「アレルギーがあるなら、支援物資はリスクを負ってまで食べないで」と言われ、途方に暮れたこともあったという。

 食べられない食材を食べて血圧低下や意識障害など重篤なアナフィラキシーショックが起きた場合、血圧を上げる自己注射薬の「エピペン」を迅速に打たないと死に至ることもある。

 「福岡アレルギーを考える会」の野田朱美会長(60)は強調する。「避難所では気後れせずに訴えて。行政はエピペンを備蓄して緊急時に対応できるようにしてほしい。親も子も日頃から堂々とアレルギーのことを周囲に話してほしい。誤解が少なくなり、孤立せずに周りが助けてくれるようになるはずだから」


=2014/03/12付 西日本新聞朝刊=

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