【震災3年 もしもに備えて】<3>集合住宅 「住人力」でしのぐ

 分譲マンションの住人が力を合わせて災害対策に乗り出している例がある。福岡市博多区のシャルマンコーポ博多(364戸、約560人)。1974年完成で高齢化率は3割を超え、1人暮らしや体の不自由な人など、災害時に支援が必要と想定される世帯も多い。どんな工夫をしているのだろう。

 基本は「災害発生から3日間程度は住人だけでしのげるようにする」。そのために、管理組合が費用を出して飲料水50トンを備蓄できるタンクを設置した。さらに「生活支援」「脱出支援」「情報関係」「電気関係」などの各用具を約250万円かけてそろえ、マンション内に保管している。

 ■脱出用工具を用意

 普段、水は電動式ポンプに頼っており、停電時は各戸のトイレや水道が使えなくなる。そこで「生活支援用具」として袋状の簡易トイレ1500個、テント式組み立て公衆トイレ2台、水6リットルを背負える給水袋400個を用意している。

 「脱出支援用具」はジャッキや金づちなど。建物は耐震構造だが、各戸の玄関ドアは鉄製で、地震によるゆがみで開かない恐れがあるからだ。

 災害時には、司令塔として管理組合や自治会の役員らが管理事務所に集まり、対策本部を立ち上げる。そこでの「情報関係用具」として携帯ラジオやトランシーバーが役に立つ。「電気関係用具」は、発電機、通路を照らす投光器などをそろえた。

 食料は各戸で3日分程度は日常的に蓄えてある前提で、特に用意していない。

 ■安否確認表も作成

 このマンションが対策に動いたのは、2005年の福岡沖地震がきっかけだった。住人にけがはなかったが、壁にひびが入るなどの被害が出た。管理組合の元理事長、樋渡重喜さん(89)は「福岡でも大地震が起こることを自覚し、対策の必要性を痛感した」と振り返る。

 すぐには避難しない方針に決めたのは、阪神淡路大震災の教訓などに学んだから。(1)大地震があっても、建物は住めなくなるほど崩壊するとは考えにくい(2)開設直後の避難所はトイレや水が不足し、環境がよくない‐と判断した。

 さらに「自衛隊や消防などの公的機関が災害発生直後から支援に動けるとは限らず、頼りになるのは住人」として40代など約30人で災害ボランティアを組織した。災害直後に住人の安否確認を担う役割で、訓練も毎年実施。優先順を示した「要安全確認世帯一覧」も住人の自己申告などに基づいて作成している。

 準備を円滑に進めるポイントとして、樋渡さんは「信用できるリーダーがいる」「全戸配布の広報紙を発行して情報共有を図る」‐ことを挙げている。


=2014/03/13付 西日本新聞朝刊=

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