【震災3年 もしもに備えて】<4>ペット 平時のしつけが鍵

東日本大震災時、岩手県の避難所に止めた軽自動車の車内で飼われていた猫。周囲に気兼ねして車中でペットと寝泊まりする被災者も多かった 拡大

東日本大震災時、岩手県の避難所に止めた軽自動車の車内で飼われていた猫。周囲に気兼ねして車中でペットと寝泊まりする被災者も多かった

 災害時は人命が優先されるが、ペットは家族の一員という意識も定着している。動物愛護だけでなく、飼い主の心のケアという観点からも、環境省は原則「同行避難」を打ち出した。ただ、避難所でのトラブルなど課題は多い。ペットと共に「もしも」を乗り越えるため、飼い主が心掛けることは‐。

 ■首輪に「迷子札」を

 「これまでの大規模災害の経験から、飼い主とペットが同行避難することが合理的」‐環境省は昨年6月に策定した「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」でこう明記する。東日本大震災で放浪状態となり、今なお、保護した犬や猫の飼い主を捜す作業が続いている反省からだ。

 とはいえ、緊急時はまず飼い主自身の安全確保が大前提となる。東日本大震災では、いったん避難した飼い主が、ペットと一緒に逃げようと自宅に戻って津波に巻き込まれるケースもあった。

 災害時は人命優先で、ペットを自宅に残して避難しなければならない状況は避けられない。環境省動物愛護管理室は「ペットが保護されたとき、すぐに飼い主が分かるよう、普段から個体識別が分かるようにしてほしい」と呼び掛ける。

 犬の場合は、狂犬病予防法で義務付けられている個体識別番号を刻印した「鑑札」を首輪に取り付けることを怠らないように。電話番号などの連絡先を書いた「迷子札」を付け、首輪が外れる場合も想定してマイクロチップを体内に埋め込む対策も有効だ。登録制がない猫こそ、迷子札やマイクロチップが大切になる。

 ■迷惑かけないよう

 無事にペットを連れて避難できたとしても、ここからが大変だ。避難所には多くの人が身を寄せる。動物アレルギーや鳴き声の騒音、ふん尿の異臭でトラブルになる恐れが高い。災害時は人も動物も大きなストレスがかかる。円滑な関係を保つのは容易でない。

 実際、東日本大震災の避難所では、ペットと避難している後ろめたさや迷惑をかけたくない思いから、車で寝泊まりする姿が見られた。そのため、長時間同じ姿勢でいたことで手足の静脈に血栓ができる「エコノミークラス症候群」になった例もある。

 そこでトラブルを避けるには、何より普段のしつけが鍵を握る。

 学校などの避難所では、人が収容される体育館とは別に、運動場のような屋外にペット用スペースが設けられることになる。おとなしくケージに入るか。不必要に鳴いたり、ほえたりしないか。決められた場所で用を足すか。平時から訓練しておきたい。

 福岡市生活衛生課の椿本聡係長は「ペットを飼う人は、飼っていない人に迷惑をかけないというのが、動物愛護法で規定された大前提。災害時に限らず、普段から周囲に迷惑をかけない飼い方を念頭に置いてほしい。これ以上の『もしもの備え』はない」と強調する。長年、捨てられたペットの保護に取り組んできた椿本さんの切なる訴えだ。


=2014/03/14付 西日本新聞朝刊=

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