【人の縁の物語】<57>ラジオで世相斬り18年 パーソナリティー中西さん 月末勇退

18年間、鋭い弁舌でニュースに切り込んできた中西一清さん 拡大

18年間、鋭い弁舌でニュースに切り込んできた中西一清さん

 「聴けば今が見えてくる」をモットーに、RKB毎日放送(福岡市)の長寿ラジオ番組「スタミナラジオ」(毎週月-金曜、午前7~9時)を18年間担当してきた中西一清さん(66)=福岡県糸島市。ニュースの本質に切り込む弁舌がリスナーの心をつかんできた。電波を通して人の縁を結んできた名物パーソナリティーは3月末、一線から退く。

 生放送のスタジオの空気が張り詰めた。「野党のふがいなさだけが目立った。安倍(晋三首相)さんはこれで強気の政権運営に突っ走るでしょう」。都知事選の投開票から一夜明けた2月の朝。オープニングから中西さんのスロットルは全開だった。

 番組開始は1996年。前年に地下鉄サリン事件や阪神大震災が起きた。社会は大きく揺らいでいた。「なぜこんなことが起きるのか。背景は何か。ニュースが持つ意味まで踏み込みたかった」。RKBテレビのアナウンサーだった中西さんは、初めて自分の冠番組を持った当時を振り返る。

 ジャーナリストの大谷昭宏さん、コラムニストの勝谷誠彦さん、経済アナリストの森永卓郎さん…。多彩なコメンテーターと電話で掛け合いながら、ニュースに解説や分析を加えていった。国会開会直前には各党代表の電話インタビューが電波に乗った。ニュースのスタミナを付ける意味を込めた番組は堅い人気を誇った。

 5年前、脳梗塞で倒れた。1週間ほどの入院で復帰できたものの、微妙な違和感が残った。「滑舌が悪くなった…」。指摘されることはなくても自分が許せなかった。午前4時半起床という生活も体力的にきつくなってきた。「潮時かな」。今年に入って退くことを決意する。

 4月からは趣味の野菜づくりに読書と晴耕雨読の日々を送る。気掛かりなのは、ここ数年、番組の意見募集コーナーでリスナーがおとなしくなってきたこと。「社会に怒っても仕方ないと諦めているのか…。言いたいことが言える社会じゃないと。マスコミがその先頭に立たんといかん」。番組も終了するが、社会のご意見番を降りるつもりはない。


=2014/03/25付 西日本新聞朝刊=

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