【ESDって?】<下>思考広がる発問必要

ESDのモデル授業づくりに向け、九州・沖縄の8団体はそれぞれの実践を報告した 拡大

ESDのモデル授業づくりに向け、九州・沖縄の8団体はそれぞれの実践を報告した

 ESD(持続可能な開発のための教育)のモデル授業を模索する九州・沖縄各県の8団体は2月、それぞれの取り組みを発表した。「10年後の未来考」「暮らしとの関連づけ」「具体的な行動まで考える」などの視点から、興味深い内容だった。ただ、サスティナビリティー(持続可能性)という新たな視点から、子どもたちの思考の扉を開く授業になっているかといえば、道半ばの印象だった。

 校庭に立つ桜、クスやイチョウなどについて、専門家から木の特徴を学ぶ。その上で、それぞれ児童が選択した木の前で、10年後の自分に向けたメッセージを語る-。

 大分市の小学校で、2分の1成人式(10歳)を迎える4年生を対象に、そんな授業に取り組んだのは、NPO法人「地域環境ネットワーク」。身近な校庭の木を一つの命として捉え、「10年」という物差しで人や木の営みを考え直す狙いがある。児童たちの学習の様子はDVDに撮影され、成人式の時に再び見てもらい、歩みを振り返る。

 宮崎市のNPO法人「宮崎文化本舗」は、照葉樹林が広がる宮崎県綾町の小学4年生を対象に実践した「ネーチャーゲーム」授業を報告した。ゲーム形式の出前授業には、数年前から取り組んでいるが、学びを深める「振り返り」の時間を拡大した。

 ゲームでは、森の中でじゃんけんをして、勝った児童が落ち葉を拾い集める。「チクチクするもの」「いいにおいがするもの」「動物の落とし物」などのテーマで、落ち葉をグループ化。振り返りでは、「きょう見つけた、不思議なものは何?」「もっと知りたいこと」「伝えたいこと、これからやってみたいことは何?」などと問い掛けた。

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 ただ、報告を終えた後の懇親会ではこんな話になった。「ESDって、そもそも分かりづらいよね。先生だって大半が知らない」「ずっと続く未来、地域、商店街とか、もっと分かりやすい問い掛けが必要」「100年先も続いてもらいたいものは何か、とかね」

 例えば、環境学習で必ず登場する「5R」。リデュース(ごみを減らす)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)、リユース(不要品は買わない)、リペア(修理して長持ち)。旧来型は、それで勉強したことになっていた。だが、ESDの学びとは、さらにもう一歩踏み込む「発問力」が問われているように思える。

 曽根干潟(北九州市)の清掃活動を続ける曽根東小学校の教諭はこんなことを言っていた。「子どもたちと一緒にごみを拾いながら、ポイ捨てはいけない、とマナーの大切さを教えている。しかし、根本には社会の仕組みの問題があって、本当はそこの気づきが大切なんですがね」

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 東日本大震災から3年。その教訓を生かし、人と自然と科学のあり方、未来社会を再考するためにも、単なる環境学習で終わるのではなく、社会科、家庭科、道徳など、教科横断型の学びへの広がりが求められている。

 ESDに詳しい聖心女子大の永田佳之教授は「社会変容につながる自己変容(自分としての発展・開発)とは何か。そんな根源的な問いを考えたり、気づいたりすることがESDではないか。例えば、もっと大きく、速く、多くではなく、『もったいない』という価値に気づくような」などと話していた。

 8団体のモデル授業の実践は新年度も継続される。そうした核心の議論を含め、今後の取り組みが注目されている。


=2014/03/25付 西日本新聞朝刊=

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