【こんにちは!あかちゃん 第16部】シニア世代の役割とは<2>よその孫も世話します

ボランティアで「よその孫」の面倒を見る活動を続ける平川さん 拡大

ボランティアで「よその孫」の面倒を見る活動を続ける平川さん

 孫はかわいい。では、よその孫は? やっぱりかわいい。
 
 今月上旬、福岡市の西部地域交流センター「さいとぴあ」。エプロン姿の平川久男さん(66)が、映画の鑑賞会を楽しむ親が連れてきた子どもを、別室で世話していた。自分の孫を見守るときのように目を細めながら。

 市内の公共施設である研修やイベントに出向き、無償で託児を請け負うボランティア団体ふくおか子育てマイスター「あゆみ」で代表を務める。この日は男女9人で参加し、1~4歳の子ども約20人を預かった。

 活動を始めるきっかけは、福岡県が60歳以上を対象に2012年度から開く「子育てマイスター認定研修会」に参加したこと。入浴やおむつ替えなど育児の基本を7日間の課程で習得する。育児支援の人材育成を目指す事業だが、2年前に大学職員を定年退職したばかりだった平川さんの動機は「長男の孫の面倒を見られるように」だった。

 昨年春に修了すると「せっかく認定されたのに、もったいない」との思いが頭をもたげてきた。「右肩上がりの時代を生きたからかな。前向きで社会に出たい人が多いんですよ」と自認する団塊の世代。研修会の参加者に呼びかけると男女約20人が賛同した。

 この1年で会員は58人に増えた。社会に貢献している実感、そして何より「孫」たちの笑顔がたまらない。「今度のゴールデンウイークも託児の予定が入っています」。平川さんの目がまた細くなった。

 一日中、電話が手放せない。北九州市の黒岩和子さん(76)は、市がNPO法人に委託する「ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)」事業で仲介業務を担っている。育児援助が必要な親からの依頼に応じ、支援を提供できる登録会員を紹介するのが役割だ。

 「子どもが熱を出して…。保育所に迎えにいってもらえませんか」。そんな電話が入ると早速、提供会員に連絡する。しかし、特に緊急性が高い場合、なかなか引き受け手が見つからない。「時間が合わなくて」…。十数人に電話をかけた揚げ句、仲介スタッフが駆けつけることもあるという。

 もともと提供会員が少ない事情もある。北九州市の場合、依頼会員に対して3分の1ほど。ここ数年、共働きが増えて依頼が急増しているのに対し、提供会員の数は微増が続いている。全国的な傾向でもある。

 提供会員は子育てを終えた40代以上が中心で、60~70代も多い。保育士などの資格は問わないが、専門研修を受ける必要がある。報酬が1時間800~千円前後ある分、責任も伴う。

 保育士の経験がある黒岩さんは「急な対応も多く、責任感が欠かせない仕事。提供会員の皆さんにはできる範囲で精いっぱいやってもらっています。誰でも気楽にというわけにはいきません」と指摘する。

 約800万人いる団塊の世代が2015年には全員65歳以上になる。増え続ける高齢者のマンパワーを「よその孫」育てに生かさない手はないが、ハードルもある。黒岩さんは「行政とうまく責任を分担しながら、ボランティアの皆さんとも連携していけたらいいですね」と話していた。 (東伸一郎)

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 ●メモ=ファミリー・サポート・センター

 共働きやひとり親など育児の援助を必要とする親の依頼に応じ、センターに登録した会員が子どもの一時預かりや保育施設への送迎を有償で請け負う。国の主導で1994年度に始まり、2012年度時点で699市区町村が設置。運営は自治体直営のほか、社会福祉協議会やNPO法人への委託もある。


=2014/04/16付 西日本新聞朝刊=

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