【近衛家の国宝 私の名品】<1>茶杓箪笥(16-18世紀) 茶の湯へ思い深く

静岡文化芸術大学長(茶道史)熊倉功夫氏 拡大

静岡文化芸術大学長(茶道史)熊倉功夫氏

31本の貴重な茶杓を納めた「茶杓箪笥」

 ●静岡文化芸術大学長(茶道史) 熊倉功夫氏 
 茶杓(ちゃしゃく)はただ茶をすくうための竹べらに過ぎないが、茶人の個性を伝えるという点では一番大切な道具である。その理由は、ほとんどが有名茶人の手作りで、いわば千利休の茶杓を握ったら、そのまま利休と握手しているということになるような、昔の茶人をじかに感じることができる唯一の道具だからである。

 近衛家21代の家〓(いえひろ)は大の茶の湯好きだった。生涯に308回に及ぶ茶事を開き道具の組み合わせを工夫した。中でも茶杓を大切にして、わざわざ専用の箪笥(たんす)を作り、五つの引き出しに31本の茶杓が納まっている。

 最上級の引き出しには後西天皇作が5本、常修院宮(家〓曽祖父信尋の弟)作が3本納まっていて、ここに公家としての家〓の茶の湯の伝統がはっきりとうかがえる。公家の茶の湯の根本に、後西天皇を仰ぎ師匠として常修院宮をいただくという家〓の思いが、茶杓の分類から見えてくる。

 茶杓箪笥には千利休や細川三斎など17人の茶杓が入っていて、茶杓の最高のコレクションといえよう。

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 藤原氏につながる近衛家の文化財を保管する陽明文庫(京都市)の名品を展示する特別展から、日本文化に造詣が深い4人が作品を紹介する。

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 ▼近衛家の国宝 京都・陽明文庫展 6月8日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館。一般1500円、高校・大学生千円、小・中学生600円。月曜休館。5月5日は開館。NTTハローダイヤル=050(5542)8600。

 ※すべての〓は「にすい」に「熙」


=2014/04/22付 西日本新聞朝刊=

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