【近衛家の国宝 私の名品】<2>太刀銘長光(13世紀) 綱吉からの献上品

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陽明文庫刀剣係新井重〓氏

優美な造形の「太刀銘長光」

 ●陽明文庫刀剣係 新井重〓氏 
 公家筆頭の家柄である近衞家の刀剣コレクションには一つの特徴がある。刀身の刃文が波打たず、まっすぐで美しい直刃(すぐは)様式の名品が多いことだ。

 武家は自分の力を誇示するため、波打った刃文を好んだが、品格を重んじる公家は直刃を好んだ。

 直刃は刀鍛冶にとって最も難しい技術。鎌倉時代屈指の名工である長光作のこの太刀は、端正な直刃の上に、丁字(ちょうじ)(同名の植物のつぼみの形を指す刀剣用語)の乱れ映りがあり、大変珍しい逸品だ。普通はこんな現象は見られない。個人的には「日本一の長光」と評価している。

 この太刀は徳川綱吉が母、桂昌院の位を上げるため、近衛家に献上した品。刀身だけではなく拵(こしらえ)(刀の外装)にも注目してほしい。大きく「三つ葉葵(あおい)」の紋を連ねた鞘(さや)などこちらも最高の出来栄えだ。

 鉄である刀の保存は本当に難しい。史書をひもとき、師匠の指導を受け、それを次に伝えることが大事だ。受け継がれてきた輝きを見てもらえれば。

 ▼近衛家の国宝 京都・陽明文庫展 6月8日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館。一般1500円、高校・大学生千円、小・中学生600円。月曜休館。5月5日は開館。NTTハローダイヤル=050(5542)8600。


=2014/04/23付 西日本新聞朝刊=

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