『快眠とうつ予防』公開講座より

 福岡県医師会と西日本新聞社が共催した「県民のための公開講座『快眠とうつ予防』」(3月8日、福岡市)=写真。会場には約430人が集まり、パネリストへの質問用紙が50件ほど寄せられた。その質問に沿う形で、パネリストだった久留米大医学部神経精神医学講座教授の内村直尚さんと、心療内科医の稲津佳世子さん(済生会福岡総合病院勤務)に快眠のこつや、うつ対策をあらためてアドバイスしてもらった。

 ●睡眠薬は医師の診察後に

 「少量なら、薬を使ってもしっかり寝られた方がよいのでしょうか」など、睡眠薬に関する質問がかなりありました。生活習慣を改善してみて、それでも眠れない、どうしても習慣を変えられない場合は、寝酒よりも睡眠薬の方が心身に良い影響を与えます。

 ただ、その人の不眠の状況に応じた睡眠薬の服用が重要なため、知人からもらったりせず、医師から診察を受けた上で投薬してもらってください。

 副作用としては、翌日の起床後のふらつきや、眠くて起きづらいなどがあります。そのときは主治医と相談を。服用量が少ないと効果が不十分になるため、眠れる適量を飲むこと。

 24時間勤務や夜勤の場合、連続しないよう間隔を少なくとも3日以上あけ、日勤や休日を入れた方が人間の体内時計が乱れずに済みます。体内時計が乱れると昼夜が逆転し、夜に眠れない、全身倦怠(けんたい)感、頭重感、集中力低下、意欲低下などの症状が出ます。夜の仮眠は、普段の生活で眠っている時間帯が最適です。
(久留米大医学部神経精神医学講座教授・内村直尚さん)

 ●うつ病対策に軽い運動を

 ぐっすり眠るには(1)夕暮れからの照明を暖色系にする(2)睡眠前の強い刺激を避ける(飲食、光、温度、音など)(3)体をいったん温めてから体温が下がるタイミングで寝る(入浴などが効果的)(4)布団や枕は自分の体に合ったものを選ぶ-などのこつがあります。

 睡眠薬を含めて向精神薬は脳内物質に影響を与えるので、人によっては頭痛などを感じることもあるでしょう。どの薬にも作用と副作用があります。

 向精神薬は必要な人に必要な分だけ使うことで効果が期待できます。不必要なのにたくさん取りすぎたり、必要量が足りなかったりすれば効果は期待できません。薬の調整は主治医とよく相談してください。効果の有無は自覚症状だけでは判断しにくいので、睡眠時間や家事の記録など客観的な指標を医師と共有するようにしてください。

 うつ病については最近、運動が効果があるという説が取り上げられています。実験結果は「効果あり」と「はっきりしない」が互角の様相ですが、軽い運動はうつ病以外の病気予防や老化対策に有効なのは明白。やって損はないでしょう。

 うつ病が10年以上続くようであれば、双極性障害かもしれません。ある程度、病気が長期にわたるときは完治を求めすぎず、こうした体質であると諦めて、その範囲で生活を楽しむような工夫から始めてみるのも有効です。(心療内科医・稲津佳世子さん)

 ●記者メモ

 ▼医師の説明不足も

 寄せられた質問で私が感じたのは、医師が患者に治療内容を説明しきれていない実態が結構あるのではないか、ということだ。

 常用する向精神薬について「今後も飲み続けていいのか」「副作用は」といった質問が含まれていたからだ。本来なら担当の医師が真っ先に説明すべきことである。

 仮に医師がきちんと説明していたとしても、患者が理解していなければ意味がない。「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)」の重要性が唱えられて久しいが、浸透しきれていないようだ。


=2014/04/25付 西日本新聞朝刊=

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