五輪前に集めた小型家電、本当にメダルになった?

 「数年前、古い携帯電話を集めて東京五輪・パラリンピックのメダルを作ると聞き、区役所に設置された箱に寄付しましたが、あれは本当にメダルになったのでしょうか」。横浜市港北区の女性から神奈川新聞の双方向報道「追う!マイ・カナガワ」取材班に質問が寄せられた。2021年を振り返ると、コロナ禍の中でも、57年ぶりに東京五輪が実施されたのは明るい話題だった。寒さが染みる季節に、あの熱狂を振り返りながら取材した。

 投稿者の女性は「私が報道に気付かなかっただけかも」と言うが、五輪前にはリサイクル資源でメダルを作る試みについて聞いていた記者も、大会中に話題にした記憶はない。延期や開催の是非にスポットが当たり、そうした報道が下火になったのは否めない。

 ただ、リサイクル由来の金属から東京大会のメダルを作る「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」運営事務局に尋ねると、「ちゃんと、やってましたよ」と即答された。プロジェクトは17年3月から19年4月まで実施され、全国の約1600自治体が参加。使用済みの小型家電から集めた金属で、五輪とパラリンピック計約5000個の金・銀・銅メダルを全て作ったという。

 「五輪本番は選手の活躍がフォーカスされますから、プロジェクト自体はかすんでしまったかもしれませんね。会場ではアナウンスしていたのですが…」

メダリスト「より重みを感じる」

 家庭にあるスマートフォンやパソコンなどの小型家電には金・銀・銅やレアメタルが含まれ、「都市鉱山」とも呼ばれる。その“埋蔵量”は世界有数の天然鉱山に匹敵するとされる。

 プロジェクトで集まった金属類は分解や選別処理を行い、精錬事業者が金・銀・銅を抽出。全国で合わせて金は約32キロ、銀は約3500キロ、銅は約2200キロがそれぞれ回収され、五輪組織委員会がメダルを製造したという。

 東京五輪で日本勢第1号の金メダリストとなったのは、柔道男子60キロ級・高藤直寿選手(28)だった。リオデジャネイロ五輪では銅に終わった悔しさを乗り越え、悲願を成就した高藤選手はリサイクルメダルについて「皆さんの気持ちが集まってできたメダルということで、より重みを感じる。環境配慮を掲げた東京五輪らしいメダルだと思う」と語ってくれた。輝くメダルは自宅のテレビのそばに飾っているという。

受け継がれるプロジェクト

 東京五輪は終わったが、今回のレガシーは「アフターメダルプロジェクト」として受け継がれている。環境省などが、全国のショッピングモールや郵便局などで小型家電を回収し、知的障害者のスポーツ推進を目的にしたスペシャルオリンピックスの開催支援などに充てられているそうだ。皆さんも使用済みの小型家電はリサイクルに回してみては?(神奈川新聞・鈴木崇宏)

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