水耕栽培で野菜作り キット、ペットボトル活用 専用システムキッチンも

水耕用シンクで野菜を育てるキッチン 拡大

水耕用シンクで野菜を育てるキッチン

モーターで水を循環させるタイプのキット ペットボトルを活用して育てたクレソン

 食の安全に対する意識が高まる中、気軽に野菜作りに挑戦できそうなのが水耕栽培だ。マンションのベランダや室内でもでき、より手軽な新製品を提案する企業もある。ペットボトルなど手作りの栽培キットでも楽しめ、入り口のハードルは意外に低いようだ。

 「風味もしっかり。普通と変わらずおいしいです」。主婦(82)が食したのは水耕栽培のバジルだ。3月下旬、福岡市・天神であった水耕システム付きキッチンの展示会。買い物客らが次々、試食に手を伸ばす。「自分で作るわけだから、とにかく安心ね」。主婦は盛られた野菜を頬張った。

 このキッチンに技術提供したM式水耕研究所(愛知県弥富市)によると、専用シンクで養液を循環させながら栽培。LED照明と熱環境を制御する装置があり、養液の補充と簡単な清掃で無農薬の野菜が収穫できる。種類もミズナ、ミツバ、ホウレンソウなど約30種という。

 水耕の特徴について、九州大生物環境利用推進センターの吉田敏准教授は「水耕では、水分を抑え、植物の対抗反応を引き出して甘みを増すような栽培はできないが、連作障害もなく肥料も調節できるなど取り組みやすい方法」と話す。

 水耕の専用キットも豊富だ。インターネット販売の「グリーン・グリーン」(福岡市)は、コップのようなシンプルな物(925円)から、養液をモーターで循環させる商品(9200円)など幅広くそろえる。

 日当たりの良い場所さえあれば初心者でも失敗が少なく、楽しめるという。上杉仁志社長は「畑の土が水になっただけ。難しく考えすぎないで」。近年、さまざまな環境問題がクローズアップされるたびに関心の高まりを感じており「PM2・5(微小粒子状物質)が注目されて以来、問い合わせが増え、中国からも毎月のように問い合わせが来る」という。

 意外な「副産物」もある。成長が早く収穫量も多いため「例えばミニトマトなら小さいキットでも300個ほどは採れる。作る野菜を近所で分担してシェアしてはどうでしょう」。水耕がコミュニティーづくりにも役立つというわけだ。

 「身近な物で気軽に始められるのが魅力」と話すのは、水耕歴約5年の福岡市の会社員、吉松聡三さん(46)。お勧めはペットボトルを活用する方法だ。胴から切り離した上部を逆さまにセット。園芸店などで入手したパームピートで茎を支え、根を飲み口から下に伸ばす。養液をためる下の部分はアルミはくなどで遮光し、養液は月に1回程度交換する。クレソンなどが育てられる。プランターの土植えより失敗が少なく、養液の補充と季節に注意すれば大丈夫という。現在はトマト、ニガウリ、レタスなどを季節ごとに育てており「1枚ずつ、1本ずつちぎって食べている」と魅力を語る。

 生長する過程も楽しめ、それを口にすることで「食に対する意識が変わってくる。失敗しても気にせずトライして」と話している。


=2014/04/30付 西日本新聞朝刊=

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