LGBT向けローン、同性カップルが使えず…当事者が嘆く「分断」とは

 LGBTなどの性的少数者のカップルを自治体が公的に認める「パートナーシップ制度」が全国で広がっている。とはいえ、導入した自治体はまだ限定的。中日新聞の双方向報道「ユースク取材班」には、同性パートナーと暮らす愛知県内の40代男性から、自宅を改築するためにLGBT向けの住宅ローンの利用を金融機関に相談したところ、利用を断られたといった情報が寄せられた。カップルが暮らす自治体にパートナーシップ制度がないのが理由だった。同性カップルが暮らしの中で直面する壁について取材した。

鍵は居住自治体の制度の有無

 「せっかくマイノリティーのカップルが住宅ローンを使えるようになったのに…。パートナーシップ制度がある自治体かどうかが、新たな分断を生んでいる」

 今回「ユースク」に投稿をした愛知県刈谷市の拓さん=仮名=が肩を落とした。拓さんは当初、同居している会社員の同性パートナーと一緒に住宅ローンを組もうとした。2人でローンを組めば希望の額を借りやすいと考えたからだ。

 結婚した夫婦であれば、同じ物件で夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」を利用したり、収入を合算して借り入れをしたりすることができる。この仕組みを同性カップルにも拡大する動きが近年、金融機関で広がっている。

 2017年、みずほ銀行が邦銀で初めて同性カップル向け住宅ローンを発表。各銀行にも「LGBT向けローン」が広まった。みずほ銀行は当初、全国で初めて東京都渋谷区が発行を始めたパートナーシップ証明書の写しの提出を求めていた。だが、区外の人にも対応するため条件を緩和。本人の判断能力が低下した場合に備える任意後見契約を結んでいるなどすれば、ローン利用が可能になった。

 長野銀行(長野県松本市)や八十二銀行(長野市)も、制度のない自治体に住む同性カップルもローンを利用できるようにした。

 一方、拓さんは昨年7月、LGBT向けローンのある大垣共立銀行(OKB、岐阜県大垣市)と西尾信用金庫(愛知県西尾市)に相談をしたが、いずれも「自治体によるパートナーシップ制度で公認されたカップルしか利用できない」と断られてしまった。

 取材に対しOKBは「条件の緩和は今後の検討課題としたい」、西尾信金は「すぐに条件を変えるとは言えないが、検討の余地はある」とコメント。拓さんは「自分たちは無理でも、他の人たちがローンを利用しやすいようになってほしい」と柔軟な対応を求める。

「幸せ求める権利がある」

 自治体に制度がないことで同性カップルが不利益を被るのは、住宅ローンの問題だけではない。

 愛知、岐阜両県のLGBT当事者らでつくる「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」は昨年春、会員制交流サイト(SNS)を通じて当事者にアンケートを実施。「住居の賃貸契約で断られやすい」「医療機関で家族として認められないことがある」といった声が上がったという。

 会を発足させた名古屋市の男性(52)は「同性カップルも異性カップル同様に法的に認められ、幸せを求める権利がある」と話し、パートナーシップ制度への理解を求めている。(中日新聞・森若奈)

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