企業-無料バス 町内会-介助 買い物 地域が支援 急勾配の福岡・柏原地区

ホームセンターで買った物をバスに積み込む参加者 拡大

ホームセンターで買った物をバスに積み込む参加者

バイクもうなりを上げる急勾配の柏原地区

 買い物が困難な地域の高齢者を支援しようと、福岡市南区柏原2丁目の柏原東町内会(松村潤一会長)が地元企業と協力した取り組みに乗り出した。急勾配の住宅地から店まで、中型バスで無料送迎。今後さらに高齢化が進むのを見越した試みで、行政に頼らない「民民」の支え合いとして注目を集めそうだ。

 買い物支援バスは2日に初めて試験運行した。使うのは、市内の葬儀社「飛鳥会館」の送迎バスと運転手。「宣伝効果がある」と期待する葬儀社側と、住民の足を探していた町内会を、南区社会福祉協議会が引き合わせて事業化した。

 柏原2丁目は、車のエンジンもうなりを上げるような急勾配の丘に広がる住宅地。30~40年前に移り住んだ人が多く、校区内の高齢化率は25・8%と市全域(19・0%)を大きく上回る。直線距離で約500メートル先のバス通りには店が並ぶが、高齢者が荷物を抱えて歩くには「泣きたくなるほどつらい」(70代女性)。買い物ができないために転出する人もいて、対策を迫られていた。

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 試験運行には70~80代の10人が参加し、スーパーなど3店を30分ずつ巡った。1人暮らしの川崎富美子さん(72)は「目が悪くて5年前から運転できない。人に買ってきてもらうことが多いから、自分で選べるのはうれしい」と、みそを手に取った。夫を介護する大山寿美子さん(80)は「買い物を手伝ってくれる息子が転勤して困っていた。バスがあると心強い」と話す。「葬儀社のバス」にためらっていた人も、帰るころには「いずれお世話になることだし」と笑い合った。

 バスは今後、月1回運行する見通し。運転手の人件費や燃料は葬儀社が負担し、町内会は荷物運びなど介助役を担う。対象地域を広げられないか、さらに調整するという。町内会で副会長を務める太田利彦さん(71)は「住民が触れ合う機会になり、引きこもりも防げる。高齢化が進んでも地域で支え合えるよう、今のうちに態勢を整えておきたい」と話す。

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 買い物支援バスは、北九州市八幡西区の楠北地区を走る「フレンド号」が手本となっている。地区唯一のスーパーが閉店したのを機に2011年、楠橋北自治区会と地元の葬儀社「サールナート」が連携してスタートした。週1回、2便で計30~40人を運ぶ。

 自治区会会長の松尾一四(かずし)さん(71)は「地域ににぎわいが戻り、一体感も生まれた」と手応えを感じている。一方で、運行4年目を迎えて課題も見えてきた。「(介助役の)ボランティアが60~70代と高齢化してきた。経済的負担を1社の厚意に頼り続けているのも申し訳ない」と悩む。

 より若い世代や複数の地元企業をどう巻き込むか。支える側の裾野を広げることが、継続的な運行の鍵となりそうだ。


=2014/05/15付 西日本新聞朝刊=

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