【こんにちは!あかちゃん 第17部】おなかの命は… 中絶を考える<4>不安に寄り添う窓口を

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相談者からの感謝の手紙を読む坂元威佐さん(左)ら「大村いのちを大切にする会」のメンバー

 誰にも頼れない。どこに相談すればいいかも分からない。1人で悩んでいる間に、おなかはどんどん大きくなっていく-。

 長崎県大村市の「大村いのちを大切にする会」。妊婦を経済的に支援するNPO法人「円ブリオ基金センター」(東京)の支部として活動する中で、臨月になって初めて相談に来る妊婦もいるという。

 「不安を抱えた妊婦さんの駆け込み寺になっています」と副代表の坂元威佐さん(70)。裏返せば、望まない妊娠、思いがけない妊娠に戸惑う女性が気軽に駆け込める場が身近に少ないということだ。

 親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」を運営する熊本市の慈恵病院でも、昨年度寄せられた1445件の相談のうち、8割以上を熊本県外が占めた。心理カウンセラーの西山玲子さん(60)は「妊婦健診を受けていないなど緊急性が高い人でも、遠くに住んでいると対応が難しい。気軽に相談できるところが近くにあるのがベストなんですが」と話す。

 《そこで、九州各県や県庁所在地の市に相談窓口について尋ねてみた。多かった回答は「保健所や児童相談所などが対応している」。大半は女性の健康や育児の悩みなどと共通で、窓口の名称に「妊娠」というキーワードがなく、分かりにくい印象だった》

 「情報が必要な当事者にアピールしよう」-。そんな狙いで2012年、福岡県久留米市は「妊娠ほっとライン」と命名した相談窓口を設置した。

 平日は毎日、助産師や保健師が電話で応対。商業施設のトイレや薬局に電話番号を書いたカードを置いて周知に力を入れ、昨年度は56件の相談があった。それまでは保健所で受け付けてきたが、専用窓口を設けたことで相談は増加傾向という。

 担当する市健康推進課の渋田雄飛さん(30)によると「一本の電話で関係部署が連携し、支援がスムーズに進むように心掛けています」。実際に匿名での電話が来所につながり、経済的な悩みを抱えた妊婦を生活保護の担当課につないだケースもあるという。

 頼れる人がいるとなれば、おなかが大きくなる前に決断できる。「産む」と決めれば、早い段階から準備できる。渋田さんは「妊娠に関する相談態勢の強化も、産み育てやすい社会の一歩」と実感している。


=2014/05/22付 西日本新聞朝刊=

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