【働くカタチ】配偶者控除見直しを考える<上>女性就労拡大の「壁」

 配偶者控除の廃止・縮小が政府税制調査会で議論されている。なぜ今なのか。見直すことで何が変わるのか。配偶者控除について3回にわたって考えたい。1回目は控除の仕組みや見直しのポイントをまとめた。

 -配偶者控除とは。

 「配偶者が勤め人で自分が専業主婦(主夫)かパート勤めの場合、年収が103万円以下なら、本人には所得税がかかりません。加えて、配偶者の所得から所得税で38万円、住民税で33万円が差し引かれた分に課税されます。103万円を超えても141万円未満までは段階的な配偶者特別控除もあります」
 -何が問題なのですか。

 「パート収入が103万円を超えると本人に所得税がかかり、配偶者控除も少なくなるため、働く時間を調整する人がいます。厚生労働省の調査によると、労働時間や収入を調整しているパート労働者の33%が、配偶者控除を理由に挙げています。安倍晋三首相は『103万円の壁』を取り払い、女性の就労拡大につなげたい考えです」

 -控除がなくなるとどうなるのでしょう。

 「会社員の夫の年収が570万円、パートの妻の年収が100万円で子ども2人の世帯で考えてみます。現在は、配偶者控除38万円などを差し引いた夫の年間所得税額は22万8500円ですが、控除がないと30万500円。住民税を合わせた夫婦で支払う年間税額は56万6500円から67万1500円になります」

 -配偶者控除がなくなれば「調整」はなくなる?

 「まだ『130万円の壁』があります。パート年収が130万円以上なら配偶者の扶養から外れ、年金や医療保険の社会保険料を払うことになります。ただし、年金改革で2016年10月から適用範囲が106万円未満に引き下げられます」

 -配偶者控除が見直されようとしている背景は?

 「女性の就労を後押しして働き手を確保することが急務になっています。総務省の人口推計では、昨年10月時点の生産年齢人口(15~64歳)は前年比100万人以上減り、32年ぶりに8千万人を下回りました」

 -見直しは10年以上前から議論されてきたはず。

 「制度が導入されたのは1961年。当時は専業主婦世帯が圧倒的でしたが、今や共働き世帯は片働きの1・3倍と逆転しました。フルタイムで働き家事や育児をしている人には不公平感もあります。時代とともに中立的に見直す必要があったのですが、女性は家庭を守るのが仕事という保守層の抵抗や選挙対策で後回しにされた面もあります」

 -見直しの日程は?

 「6月にまとめる新成長戦略に盛り込む方針です。ただ、一部には『じっくり議論すべきだ』(政府税調の中里実会長=東大大学院教授)という意見もあり、行方が注目されています」

    ◇   ◇

 少子高齢化が進み、性別を問わず誰もが働いて支え合わなければ日本社会は成り立っていきません。そんな時代にふさわしい働く環境とは-。配偶者控除を皮切りに、生活面の新企画「働くカタチ」でさまざまな課題を考えていきます。


=2014/05/28付 西日本新聞朝刊=

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