【珍百景】電柱が道の真ん中にで~ん、理由を探ってみると…

 「散歩中に見つけたのですが、道路の真ん中に居座っている電柱があります。異常な状態だと思うので、調べてもらえないでしょうか」。神奈川県藤沢市の自由業の50代男性から神奈川新聞の双方向報道「追う! マイ・カナガワ」取材班に寄せられた〝珍情報〟。どこかのテレビ番組で見かけるようなテーマだけど、本当にこんなことってあるの?

 JR藤沢駅から北西に徒歩10分ほどの同市鵠沼(くげぬま)の住宅街。狭い路地が多いエリアで大通りから一本入った丁字路に向かうと、幅3メートル程度の道路の真ん中に1本の電柱があった。見た感じはそれほど新しいものではなさそうだ。

 通りがかりの60代男性に聞くと「近くに25年ほど住んでいるけど、ずっとあるね。配達の軽自動車なんかはうまく抜けていくよ」。

 よく見ると、電柱は約3メートルの道のど真ん中ではなく、若干ずれて立っている。測ってみると広い方はおよそ幅1・5メートル、狭い方は0・9メートル。運転に自信のあるドライバーで、軽自動車なら抜けられるのだろうか…。ただ男性は続けた。「救急車や消防車が通りたいときはどうするんだろうね」

反対側に行ってみると…

 反対側の出口はどうなっているのだろう。歩いて行くと、途中には民家や公園、老人福祉施設などがあり、小田急線の高架をくぐった先は、片側1車線の道路に通じていた。

 そこで振り返ると、道路の入り口の高架下に「四輪車通り抜け不可 藤沢市」との表示があった。

 近くに住む女性に話が聞けた。「あの電柱はかなり前からあって、あることが当たり前だから最近は話題にもならない」。一方で、通勤時間を中心にこの道路は自転車やバイクの往来が多く、お年寄りや保育園児らが危ない思いをすることもあって心配という。

 1年ほど前に自治会の働きかけで、地元の警察署が問題の電柱に「歩行者に注意」とのラベルを張ってくれたそうだ。女性は「電柱がそのままあった方が、車の通り抜けもなく安全と考えている人も多いのよ」と教えてくれた。

最後に驚きの事実

 なぜ、この電柱は路上に立っているのか。この道路を管理する市道路管理課に取材した。

 調べてもらうと、「昭和63(1988)年ごろに道路の拡張に伴うセットバック(壁面後退)があった際、残されたのではないか」とのこと。ただ当時の担当者らが退職して久しく、「原因は分からない」という。市内に同様のケースの把握はなく、現在は道路拡張の際に電柱も一緒に動かすのでこのようなことは「考えられない」とも。

 では、なぜ「昭和」「平成」「令和」と残されたままだったのだろうか? 「おそらく地元から移設の要望がなかったからかもしれませんね」と担当者。先ほどの女性が語ってくれた話が頭をよぎり、その理由に納得していると、最後に驚きの事実が告げられた。

 「時期は未定ですが、東京電力との話がまとまり、この電柱は道路の隅へ移すことになっております」

 聞けば、つい最近、市民から要望があって検討に着手し、移設方針が固まったのだという。「確かに道路の真ん中に電柱があるのは危険です。仮に電柱の存在を知らないドライバーが、突っ込んだりしたら大変ですから」と担当者。

 昭和末期から長らく取り残された電柱はついに移設される。とはいえ、運転する皆さん、たとえ電柱がなくなっても、この道路を通る際にはスピードは控えめにお願いします。

 (神奈川新聞・鈴木崇宏)

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