末期がん患者支え20年 ファイナルステージを考える会 悩み傾聴、不安に寄り添う

 末期がん患者に人生の最後を楽しく穏やかに過ごしてもらおうと、支援活動などに取り組む福岡市のボランティア団体「ファイナルステージを考える会」が22日、設立20周年の記念行事を開く。この日は発足当初から活動の中心を担い、2000年に亡くなった小山ムツコさん(享年57)の命日。講演や鼎談(ていだん)を企画しており、小山さんの遺志を継いだメンバーが準備を進めている。

 小山さんは1988年に乳がんを患い、転移して93年に余命6カ月と告げられた。最期まで自分らしく過ごそうと痛みの除去を依頼し、交流するようになった開業医で麻酔科医の清水大一郎さん(65)=会世話人=らと94年8月に会を発足させた。

 家族を悲しませまいと明るく振る舞う中、身をもって末期患者の孤独と不安を実感。患者に寄り添い、じっくり話を聴ける人が必要と考え、96年には傾聴力養成講座を企画した。患者の参考にと「余命6カ月から読む本」(海鳥社)の出版にも力を注いだ。

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 会は今も傾聴を重視する。福岡市の病院を訪問し、患者をマッサージする「ハウトケア」と兼ねて傾聴に取り組むボランティアに力を入れる。

 「デイホスピス」も活動の柱の一つ。福岡市南区にある清水さんのクリニック2階を会場に月2回実施。在宅療養中の患者が集い、会話を楽しんで不安や孤立感を和らげてもらうのが目的だ。会世話人の末嵜好子さん(65)は「患者さん同士だからこそ悩みを共有できる面がある」と語る。

 運営は主婦などのボランティアが担い、医療サービスはない。利用者はリビングのような空間で昼食を味わい、水彩画や手芸を楽しんだりして過ごす。利用料は昼食込み500円。取材で訪れた日は7人が利用し、福岡市南区の篠隈利子さん(71)は「ここに通ってから笑いじわが増えた。楽しくて病気を忘れられます」と笑顔を見せた。

 会は患者の生活向上も目指し、情報発信や啓発にも取り組む。課題として医療側が「痛みの除去」の必要性を十分に認識していない点が指摘されており、清水さんは「除痛技術を身に付けた医師がまだ少ない。この問題解決にも力を注ぎたい」と意気込む。

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 記念行事では「暮らしの保健室」室長の秋山正子さん(63)が「在宅ケアのつながる力-どんな時でも命は輝く」と題し講演する。

 秋山さんは92年から訪問看護に取り組み、その分野のパイオニア的存在。2011年には重症化する前の段階から関わろうと、東京都新宿区にある大規模団地の空き店舗に「暮らしの保健室」を開設し、保健師や看護師らが住民の相談に無料で応じている。

 会の代表世話人を務める岩崎瑞枝さん(57)は「秋山さんのエネルギッシュな活動を多くの人に知ってもらい、会の活動の参考にもしたい」と話している。

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 記念行事は午後2時~5時、福岡市東区馬出3丁目の九州大学医学部百年講堂で。鼎談では、秋山さん、岩崎さん、末嵜さんが傾聴をテーマに意見交換する。参加費千円(当日1500円)。問い合わせは清水クリニック=092(502)6767。


=2014/06/06付 西日本新聞朝刊=

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