これも家族? そうだよ! 「多様な価値観」 絵本で伝える 「たまごちゃん、たびにでる」 イタリア会館・福岡が翻訳出版
■新訳男女 語り合おう■
イタリアで出版され、日本語版が話題の絵本「たまごちゃん、たびにでる」。そこには血縁のない親子やシングルマザーなど、さまざまな家族が登場する。翻訳と出版を手掛けたイタリア会館・福岡(福岡市)の館長ドリアーノ・スリスさん(66)は、絵本に「多様な価値観を認め合ってほしい」との思いを込めたという。
主人公はこの世に生まれる前の「たまごちゃん」。生まれてどこに行くのか心配で、試しにいろいろな家族を訪ね歩く。最初に両親と子どもがそろったウサギの一家に出会い「ぼくの“かぞく”もこうなのかなぁ」。次に会ったのは母親が2匹いる猫の親子。「きみたちは“かぞく”なの?」と尋ねると「そうよ」と返ってきて、家族に対するイメージを広げていく‐というストーリー。
作家フランチェスカ・パルディさんが物語を創作し、風刺画で有名な漫画家フランチェスコ・トゥーリオ・アルタンさんがイラストを手掛け、イタリアでは2011年に出版された。
もともとアルタンさんのファンだったスリスさんが絵本に魅力を感じ、日本語版を発案。1級建築士の大西佳弥さんと共に翻訳し、昨年7月に出版した。巻末には作家のよしもとばななさんがメッセージを添えている。
子どもに身近な家族にも多様な形がある。そのことから、人種や障害の有無など自分とは異なる人や物事に対して偏った見方をしない人になってほしい‐。そう願うスリスさんは「大人も読んで一緒に楽しんでほしい」と話していた。
1620円。問い合わせはイタリア会館・福岡=092(761)8570。
=2014/06/14付 西日本新聞朝刊=