名前入り地図看板は必要? 福岡と熊本で発見、「個人情報保護」から撤去の自治会も

 「団地の入り口に住民の名前が記された看板がある。個人情報保護の観点から撤去すべきでは」-。熊本日日新聞の双方向報道「SNSこちら編集局」に、そんな声が寄せられた。誰がどこに住んでいるのかを示す看板は必要なのか。調べてみると、自治会によって対応が分かれていた。

 熊本市北区の住宅街の入り口付近に掲げられている大きな住宅地図。細かく区画されたマス目にはそれぞれ、住民の名字が記されていた。

 3月まで自治会長を務めた70代男性によると、看板は住宅地が整備された30年ほど前に立てられ、自治会が管理している。新しい住民が引っ越して来た際には名前を張り替えているという。

 住民の同意を得て掲示しており、「地域でコミュニケーションを取る上で、誰がどこに住んでいるかを知る必要がある」と男性。「個人情報についてはいろいろな考え方がある。家族構成など詳細を載せているわけではなく、犯罪被害につながるとは思わない」と話した。

2016年まで名字が書かれた地図があった島町公園=熊本市南区

 一方、熊本市南区島町の力合西校区第2町内自治会では、2016年に住宅地図の看板を撤去した。看板は住宅街が整備された50年ほど前に住民の要望で設置され、約100世帯の世帯主の名前が記されていた。

 6年ほど前に住民が数百万円をだまし取られる詐欺被害が発生。被害と看板の関係は明確ではないが、自治会で協議した結果、個人情報を掲示するのは適当ではないとの結論に至り処分した。看板を見ている人もほとんど見かけなかったといい、湯田真喜雄会長(73)は「知人宅を訪ねるにしても住所を調べて来る人が多く、看板は必要ない」と語った。

識者「同意なき掲示は個人情報保護法に抵触」

 そもそも、ほとんどの家で表札を出しているためか、取材を重ねると「(看板は)あまり意識したことがない」という意見が目立った。ただ、最近では防犯上の理由で表札を出さない世帯も散見されるようになり、「個人情報」に関しては温度差があるようだ。

 地図情報サービスの「ゼンリン」は、全国70の拠点から調査スタッフを派遣して表札や郵便受け、表示プレートなど公開された情報に基づいて住宅地図を作製。コンビニで実施しているプリントサービスでは、本人の要望があれば名前を削除しているという。

 個人情報保護に詳しい熊本県立大の上拂(うえはらい)耕生教授(行政法)は「同意なく看板に名前を掲示した場合は、個人情報保護法に抵触する恐れがある」と指摘。「掲示してほしくない場合は、管理者に抹消を求められる。適切な対応がなければ行政の窓口に相談してほしい」としている。(熊本日日新聞・米本充宏)

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