『明治・大正・昭和 九州の鉄道おもしろ史』  弓削信夫 著  (1836円)

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『明治・大正・昭和九州の鉄道おもしろ史』弓削信夫著(1836円)

 日本で最初の鉄道が開業したのは明治維新から間もない1872(明治5)年。それから30年で、全国の鉄道網は延べ7千キロに達したという。鉄道は日本の近代化、産業振興を推し進めたが、全ての人が建設を歓迎したわけではなかった。

 本書にあるように、その事情は九州とて同じ。「蒸気機関車の煤煙(ばいえん)で作物が汚れる」と鉄道を拒否した町村は多いが、大分県では「交通が便利になると集金人がたびたび来るようになるので困る」と、福岡県では「若い者が都会に出て悪い遊びを覚えてしまう」との理由で反対運動が起きたところもあったとか。

 一方で、「これからの発展は鉄道にアリ」と考える人たちが、建設反対派やライバルの隣町と繰り広げた誘致の駆け引きなど、思わず「へぇ~」とうなるような九州の鉄道黎明(れいめい)期の秘話を紹介している。

 著者は元フクニチ新聞の記者。17年間にわたって旧国鉄を取材したうんちくは半端ではない。

 ほかにも九州の鉄道にある「世界一」「日本一」や、駅と著名人にまつわるエピソードなども多彩に網羅。鉄道から描き出した郷土史でもある。


=2014/06/15付 西日本新聞朝刊=

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