【こんにちは!あかちゃん 第18部】少子化対策 国の姿勢は<1>危機感 今度こそ本気?

 首相官邸4階、大会議室。ここで梅雨入り間もない9日、経済財政諮問会議が開かれた。首相、財務相、日本銀行総裁ら11人で構成され、安倍晋三首相が進める最重要施策「アベノミクス」を協議する中枢機関だ。

 この日、特別に出席したのが森雅子少子化担当相だった。手にした提出資料の表紙には、大きな文字でこう書かれていた。

 「少子化危機突破 少子化対策はまったなし」-。

 《さかのぼること四半世紀。政府は「1・57ショック」に揺れた。1989年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子の推定数)が丙午(ひのえうま)だった66年の1・58を下回ったからだ。少子化は国力を衰退させる-。そのときも「まったなし」と言われながら、結局、歯止めはかからなかった。今度こそ本気なのか。この連載では少子化対策に臨む国の姿勢を検証する》

 森担当相が資料を基に報告したのは「少子化危機突破タスクフォース」の提言内容だった。

 タスクフォースとは、もともと軍事用語で「機動部隊」を意味する。緊急性の高い特定課題に取り組む有識者会議で、昨年3月から少子化対策について集中的に議論。国内総生産に占める少子化対策費を現在の1%程度から2%へ引き上げることなどを提言にまとめてきた。

 報告を受けて、安倍首相はこう述べた。「人口急減、超高齢化への流れを変えるため、従来の枠組みにとらわれない抜本的な取り組みにより、結婚、妊娠、出産、育児への切れ目ない支援を行っていくことが重要だ」

 この言葉に至るまでには、いくつかの伏線があった。

 「極めてショッキングな数字だ」。1カ月前の5月9日、新藤義孝総務相は定例の大臣会見で、こんな言葉を口にした。前日に民間の政策提言機関「日本創成会議」が公表した推計について質問されたときだ。

 【2040年には全国の半数に当たる896市区町村で子どもを産む女性が半減し、将来的には「消滅」の恐れがある】

 この推計に関し、新藤総務相は直後の国会でも「国家的課題として、中長期に向けて断固たる決意を持って取り組まなければいけない」と答弁している。

 さらに4日後の13日、経済財政諮問会議の専門調査会も、少子化対策のさらなる推進を盛り込んだ中間整理をまとめた。

 【昨年1・43だった合計特殊出生率の水準が続けば、日本の人口は2060年に3割減の8674万人まで落ち込む】

 この推計に基づいた中間整理には「50年後に人口1億人程度を維持する」との目標が明示され、政府が6月中に集約する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映されることになった。

 首相官邸4階、大会議室。梅雨の晴れ間が広がる今月13日、経済財政諮問会議が開かれた。

 この場で政府は「骨太方針」の素案を提示する。この中には「人口急減・超高齢化の克服」が最重要課題と位置づけられ、子育て予算を大胆に拡充▽少子化対策に政府一体で取り組むための司令塔を設置▽新たな少子化対策大綱を本年度中に策定する-ことも盛り込まれていた。

 翌14日、明治大であった日本人口学会のシンポジウムで基調講演した森担当相は「わが国は少子化の危機にある。国として少子化問題に対する本気度が今まで足りなかった」と語った。この危機感が晴れるように具体的施策として実行されるのか。これまで同様、掛け声倒れで雨中をさまようのか。次回18日付からは国の推進態勢をチェックしたい。

=2014/06/17付 西日本新聞朝刊=

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