【こんにちは!あかちゃん 第18部】少子化対策 国の姿勢は<3>財源確保 信じていい?

 東京・霞が関。厚生労働省が入る中央合同庁舎5号館の講堂に4日、全国の自治体から子育て支援部署の担当者約300人が集められた。来年度からスタートする「子ども・子育て支援新制度」の説明会のためだ。

 冒頭、内閣府の政策統括官が「予定通り、来年4月から施行するということで、安心して準備を進めていただきたい」と呼び掛けた。しかし、九州から出向いてきたある市の担当者の心中は、穏やかではなかった。

 「どんな支援が必要か、十分に論議する時間が割けるのか。家庭への周知が進まず、現場が混乱する恐れもある。本当に間に合うのだろうか…」

 《新制度は、2012年夏に決まった「社会保障と税の一体改革」の目玉である。待機児童の解消や地域の実情に応じた子育て支援を目的に国が進めているが、具体的な事業計画は地域のニーズを踏まえ、市区町村が決めることになっている》

 別の県の担当者からも「市町村の計画づくりはかなり遅れている。国の動きが鈍いからだ」と不満が漏れた。というのも、「来年4月施行」が正式に決まったのが5月26日、説明会からわずか9日前だったからだ。

 その日、中央合同庁舎4号館にある会議室で「子ども・子育て会議」が開かれた。新制度を具体化するための有識者会議。この中で政府が「来年4月施行」を提示し、翌日に森雅子少子化担当相が正式発表した。

 会議自体は昨年4月に設置され、これまでに15回の会合を重ねてきた。保育料の新公定価格を検討するなど具体的に協議してきたが、肝心の施行時期は「来年4月予定」とされていて、確定はしていなかった。

 なぜ、この時期の正式決定となったのか。それには消費税の増税問題が関係している。

 《新制度の実現には1兆円超が必要‐と政府は試算する。うち来年4月時点では7千億円が必要で、消費税増税分を充てることに決定している。ただ、満額確保には税率10%への引き上げが前提となる。増税の是非については安倍晋三首相が今年中に判断する方針のため「来年4月施行」が先行すると、増税が既成事実化する懸念もあった》

 この点について、森担当相は発表会見の席で「必要な財源についてはしっかり確保していくということを、財務省、文部科学省、厚労省、そして私でしっかり確認した上で来年4月スタートを決めた」と述べた。

 それでもなお、8日後に開かれた新制度説明会では、自治体の担当者から「財源は大丈夫なのか」と不安の声が聞かれた。7千億円が確保できたとしても、残りの3千億円超については見通しが立っていない。霞が関では今、各省庁で夏の来年度予算概算要求に向けた作業が始まっている。 (新西ましほ)

 ●メモ

 「家族政策支出」は、児童手当や出産費用の補助、育児休業給付など家族を支援するための現金やサービス給付の総計。グラフの数字は、日本が2011年度、米国とドイツが10年度、その他は09年度。日本の支出額は約6.4兆円で国内総生産(GDP)の1.35%。経済協力開発機構の加盟国平均は2.35%だった。

 グラフの「合計特殊出生率」は12年の数字。

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 【ワードBOX】子ども・子育て支援新制度

 市町村が家庭環境に応じて「保育の必要性」を認定。認定されれば、原則全員が保育を利用できる仕組みに変わる。保育料は、幼稚園でも所得に応じて算定される。具体的には、保育所の利用要件が緩和されてパートや在学中でも利用できる▽市町村が小規模保育所を設置できる▽放課後児童クラブや一時預かり、延長保育などの事業拡充‐などで、各自治体が地域のニーズ調査を基に支援内容を決めて実施する。


=2014/06/19付 西日本新聞朝刊=

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