【こんにちは!あかちゃん 第18部】少子化対策 国の姿勢は<4>「縦割り」克服へ一元化

第2期最後となった少子化危機突破タスクフォースの冒頭であいさつする森雅子少子化担当相=5月19日、東京・霞が関の中央合同庁舎 拡大

第2期最後となった少子化危機突破タスクフォースの冒頭であいさつする森雅子少子化担当相=5月19日、東京・霞が関の中央合同庁舎

 国会議事堂の正門から徒歩5分。財務省と同じ敷地内にある合同庁舎に、政府が進める少子化対策の「指令塔」がある。

 エレベーターで4階へ。そこは内閣府のフロアで「共生社会政策担当」と表示された大部屋がある。国の重要施策と位置づけられているだけに、広いスペースが確保されていると思っていたが、机がずらりと並ぶ室内は部署が細かく分かれていた。

 子どもの貧困、自殺対策、交通安全…。「共生社会」の名の下に進められる政策は幅広く、15にも及ぶ。「何でも屋」といわれる内閣府でも象徴的な場所だ。目指す「指令塔」は食育を推進するグループの隣にあった。

 担当職員は8人ほど。意外に少ない。「ここはあくまで総合調整役との位置付けですから」と担当者。では、全体ではどれくらいの態勢で取り組んでいることになるのか。「少子化対策は各省庁にまたがっており、それぞれに数十人規模でいるのでひと口には言えません」。とにかく忙しそうである。

 「指令塔」を訪ねたのは、2014年版「少子化社会対策白書」の最終とりまとめで慌ただしい時期だった。

 白書は今月17日に閣議決定。その第1部「少子化対策の現状と課題」の「今後の予定」の項に、こんな記述がある。

 《新制度では、子ども・子育て支援法上の事務の企画立案から執行までを一元的に内閣府が所管するとともに、内閣府は認定こども園制度も所管することとなる。このため内閣府に、それに対応した組織として「子ども・子育て本部」を設置し、新制度の一元的な実施体制を整備することとしている》

 つまり、現在の「指令塔」機能を拡充するということだ。

 内閣府に課せられた重要な使命は「縦割り行政の弊害を排する」こと。中でも少子化対策は厚生労働省、文部科学省、総務省や経済産業省なども関わり「施策の遅れを誘発している」と指摘する声は少なくなかった。

 最たる例が、待機児問題を抱える保育所を厚労省、定員割れで悩む幼稚園を文科省が管轄する問題。06年に双方の機能を併せ持つ「認定こども園」制度が始まったが、二重行政はそのままで普及は大幅に遅れている。

 閣議決定後の定例会見で、指令塔のトップである森雅子少子化担当相は、新たな少子化対策大綱を年度内に策定するため、有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」の第3期を近々立ち上げると宣言した。

 政府の推進態勢はようやく整いつつあるようだ。ただ、忘れたくない視点もある。

 「出生率や出生数などの数値目標を掲げるべきだ」

 「結婚や出産は個人の自由。押しつけるかのようなメッセージにとられかねない」

 5月末に提言をまとめたタスクフォース第2期で、少子化対策の目標のあり方を協議した際のやりとりだ。最終的には、何らかの目標設定は必要だが、慎重に議論すべきだという結論にとどまった。

 第2期で委員を務めた日本総合研究所調査部の池本美香さんは「人口を増やすという側面に議論が集中し、増えなかった場合を想定した対策への議論が不十分だった」と振り返る。

 「人口が増えても、社会保障に頼る人が多ければ持続可能な社会とはならない。大綱には、人々の生活や意識、価値観に着目して目指すべき社会の構想を盛り込むべきだ」と池本さん。「望む人」が産みやすく育てやすい社会づくりを進める一方で「望まない人」の存在も忘れてはならない。


=2014/06/20付 西日本新聞朝刊=

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