【こんにちは!あかちゃん 第18部】少子化対策 国の姿勢は<5完>支援拡充 幅広い視点を

3人の子を連れて公園を歩くお母さん。これからの少子化対策が20~30年後の社会に大きな変化をもたらす=20日、東京都内の公園 拡大

3人の子を連れて公園を歩くお母さん。これからの少子化対策が20~30年後の社会に大きな変化をもたらす=20日、東京都内の公園

 東京都心にある明治大学の駿河台キャンパス。14日から2日間、日本人口学会の第66回大会が開かれた。年に1度、国内の研究者約200人が一堂に会する研さんの場。そこでのメーンテーマも少子化だった。このうち、14日にあった公開シンポジウムで討論した専門家4人の発言から「国の姿勢」について考えたい。

 《人口学は、年齢構成や社会構造を踏まえ、国や地域の将来像を描く学問。今回の公開シンポは「少子化対策のパラダイム転換-新しい家族政策へ」を掲げて開かれた。20年以上前から取り組まれながら歯止めをかけられない対策のパラダイム(規範)を問い直すのが狙いだ》

 その点、国立社会保障・人口問題研究所副所長の金子隆一さんは「少子化は、国民の現代社会に対する評価の表れともいえる」と指摘した。

 金子さんは少子化を三つの要素で説明した。(1)人口の年齢構造の変化=親となる年齢層が減り、出生率が回復しても人口減は続く(2)結婚の変容=結婚生活の魅力低下が原因で未婚率が上昇(3)夫婦の出生行動の変化=結婚した人の子ども数は1980~90年代にかけて減少-。このように要因が「生活全般」にありながら、国の対策は「産む」「育てる」に偏りがちだった。

 中京大現代社会学部教授の松田茂樹さんも「少子化は『女性の社会進出に伴う仕事と子育ての両立の困難』が要因とされ、従来の対策は保育と両立支援の二つが軸だった。それは一側面に過ぎない」と分析。金子さんも「まずは少子化を通じて社会の課題に向き合い、洗い直すことが必要だ」と訴えた。

 《1985年時点の生涯未婚率は男女とも4%だったが、2010年には女性11%、男性20%に。「産む」より以前に「結婚する」ところから考えなければならない》

 その点、神奈川県立汐見台病院産科副科長の早乙女智子さんは「若者の貧困と未婚化は相関関係にある。高収入でなくとも結婚でき、子育てができる支援策が必要」と提言した。

 中京大の松田さんも「若年層の雇用劣化」「夫は仕事、妻が家庭という典型的家族が出産・育児しにくい」などに着目し、「政策ターゲットを広げるべきだ」と要望。具体策として職業訓練、婚活支援、多子世帯への児童手当拡充、幼児教育の無償化、育児期後の復職支援、長時間労働の是正などを挙げた。

 《確かに、若者を取り巻く雇用環境は厳しい。20~34歳の独身男性の3割弱が年収200万円未満。非正規雇用は労働者全体で3分の1を超え、過去最高の水準となっている》

 その点、明治大政治経済学部教授の加藤彰彦さんは「マクロ経済の成長力低下によって、若者の経済的な地位が大きく低下し、未婚化・晩婚化が進んだ」ことに少子化の要因を求めた。

 一方で「家族や地域共同体の基盤が弱体化し、子育て環境が悪化した」点に注目。医療現場で当事者世代と身近に向き合ってきた早乙女さんも「医師不足など安心して産み育てられない環境も課題。楽しいお産など『産み方』も考えたい。産みたい、産んでいいと思える社会づくりが大切だ」と呼び掛けた。

 《昨年の合計特殊出生率が1・43だったのに対し、夫婦が理想とする子どもの数は2・42。産みたいと望んでいる人は決して少なくない。国の姿勢に「パラダイム転換」が求められている》
 =おわり


=2014/06/21付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ