認可夜間保育所 ニーズに追いつかず 理解深め支援充実を

保育士に寝かしつけられながら眠りにつく「第2どろんこ夜間保育園」の子どもたち 拡大

保育士に寝かしつけられながら眠りにつく「第2どろんこ夜間保育園」の子どもたち

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 夜遅くまで子どもを預けられる夜間保育所。れっきとした認可施設だが、その存在はあまり知られていない。そこで全国夜間保育園連盟(天久薫会長)が設立30周年を記念し、現場での取り組みを紹介した本「夜間保育と子どもたち」(北大路書房、2160円)を出版した。親の働き方や家庭環境が多様化する中、どんな役割が求められているのか考えた。

 平日午後8時すぎ、天久さんが園長を務める福岡市の第2どろんこ夜間保育園では布団が敷かれていた。0~10歳の14人が寝床に就き、お迎えを待つのだ。

 通常の認可保育所は国の設置基準に基づき、おおむね午前7時から午後6時までが保育時間。夜間保育所は別に専用の基準が設けられ、同午前11時から午後10時まで預かる。無認可託児所で死亡事故が起きたベビーホテル問題を機に制度ができ、1981年にモデル事業として始まった。

 単に4時間遅いだけではない。延長で長時間預けるケースやひとり親家庭も目立つ。子どもに重心を置く通常の保育所に比べ、親への支えが重要な場面が多く、天久さんは「親子が一緒に暮らしていける最後のとりで」と位置づける。

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 「夜間保育所が私を親として育ててくれました」。天久さんの園に長男を預ける会社員の会町沙真さん(28)も、そう実感する。

 シングルマザー。頼れる家族が近くにおらず不安な毎日だったが、1歳を前に認可外保育所から移ると保育士が育児相談に乗ってくれた。長時間離れても、園での様子を細かく教えてもらえて安心できるという。

 だが、認可夜間保育所は全国で80カ所にすぎず、通常の保育所の300分の1程度。飲食店や自営業、美容師、看護師、マスコミなど夜間の仕事は拡大しており、ニーズに追いつけていないのが実情だ。なぜか。

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 連盟は83年の設立以降、国に制度改善を訴え続けてきた。今年3月にも保育士の加配や賃金の深夜割り増し、夜間加算の増額を求める要望書を提出している。

 公的支援の充実がなければ運営が安定せず、新規参入が進まない一因になっている。そこには「夜間保育は健全育成に望ましくないという意識が行政や保育関係者にも根強い」(天久さん)という側面もある。

 連盟は大学院教授と連携し、15年かけて夜間保育所出身者を追跡調査。2000年に「成長や発達に悪影響はなかった」と発表したが、理解は広がっていない。

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 来年度から始まる国の子ども・子育て支援新制度でも、夜間保育に関する詳細は固まっていない。

 保育制度に詳しい文教大人間科学部の櫻井慶一教授は、延長時間を拡大する通常の保育所が増えていることから、将来的に延長保育の一形態とみなされ、夜間保育所への加算が少なくなることを危惧。「高い専門性を持って手厚いケアをする必要があり、国はソーシャルワーカーを配置するなど制度を充実させるべきだ」と指摘する。

 天久さんはこう訴える。「子どもの置かれた環境を望ましいものに変えるのが夜間保育の役割なのです。闇に漂う子どもたちを見て見ぬふりはできません」


=2014/06/28付 西日本新聞朝刊=

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