食物アレルギー教師研修 「エピペン」注射など学ぶ 大分

 学校現場における食物アレルギー対策を学ぶ研修会が大分市で開かれた。2年前に東京都調布市の小学校で乳製品アレルギーの女児がショック死した事故を受け、全国で実施されている。会場には教師ら約400人が詰めかけ「給食の悲劇」を繰り返さない対応策を学んだ。

 主催は公益財団法人日本学校保健会など。昨年度は全国19カ所で実施し、本年度も大分市を皮切りに18カ所で予定している。

 冒頭、大分県教育委員会の担当者が基本的な対応策を説明。(1)医師の診断に基づき、食べられない食材や発症形態を詳細に記した指導表の提出を保護者に求める(2)指導表は学校全体で情報共有する-などを挙げた。

 昭和大医学部講師の今井孝成さん(小児科医)による講演に続き、参加者は食物アレルギーの急性症状「アナフィラキシーショック」を起こした場合に注射する「エピペン」(商品名)の練習器具で訓練した。

 エピペンは教師も注射できることが認められており、緊急時の対応に欠かせない。大分市の小学校教諭(22)は「エピペンは見たことも使ったこともなかった。学校ではほとんどの時間、子どもと私たちしかいない。もしもに備えておきたい」と気を引き締めた。

 40代の養護教諭は、エピペンを持たない児童が給食後に体調を崩した場面に遭遇したことがある。その際は親と連絡が取れ、薬を処方して事なきを得たが、今でも思い出すと冷や汗が出るという。「アナフィラキシーショックに直面すれば自分がパニックになるかもしれない。注射のトレーニングを繰り返すことで自信を付けたい」と話した。

 ●講演要旨 昭和大医学部講師 今井孝成さん 医療機関受診 徹底させて

 食物アレルギーは命にかかわる問題。その意識を学校現場が共有しないと悲劇はなくならない。命を預かっているという緊張感を持って対策を一歩でも前に進めてほしい。

 強調したいのは、重症の子に対応するため、保護者の協力を求めておくこと。診断に基づかない思い込みによる自己申告は受け付けない。ある親は「この肉は食べさせないで」と申告したメモにイノシシやカエルを書いたという。笑えない話。無駄な努力をさせられないよう、医療機関への受診を徹底させてほしい。

 ただ、血液検査では診断できない。実際に食物を摂取しながら、量の限度や症状の強さを調べる負荷テストの受診を勧めてほしい。実施できる医療機関は限られる。日本アレルギー協会のホームページで検索を。

 事故を防ぐには、原因食材を口にしないことに尽きるが、人が関わる以上、ミスは排除できない。「ヒュー、ヒュー」など呼吸音が変になったり、意識障害が起きたりしたらアナフィラキシーショックと判断し、直ちにエピペンを注射しないといけない。教師も打てることを国が認めている。定期的に訓練を重ねて不測の事態に備えてほしい。

    ×   ×

 九州で負荷テストを実施する主な医療機関は次の通り。

 福岡県=久留米大病院、国立病院機構福岡病院、国立病院機構福岡東医療センター▽長崎県=長崎大病院▽大分県=大分大病院、国立病院機構別府医療センター▽鹿児島県=鹿児島市立病院


=2014/07/02付 西日本新聞朝刊=

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