西日本政経懇話会

久留米 452回 「 TPPは慎重な論議を”強い農業”地域の力で」 東京大・鈴木教授

suzukinobuhiro_02.JPG 西日本政経懇話会の3月例会が29日、久留米市であり、東京大大学院の鈴木宣弘教授が「TPPと国益」と題して講演した。要旨は次の通り。

 環太平洋連携協定(TPP)問題は「農業保護対国益」という対立図式ではない。前原誠司前外相が「GDP(国内総生産)の1・5%しかない農業を守るために98.5%を犠牲にするのか」と言ったが、あまりに短絡的だ。1.5%をベースに地域産業、コミュニティーが成り立っている。

 農業が犠牲になれば98.5%が利益を得るかというとこれも違う。日本のGDPに占める輸出の貢献度は2割に満たず、8割の韓国とは比較にならない。関税撤廃は産業構造だけでなく雇用や医療、生活にも影響を及ぼす。「一部の輸出産業(の経営陣)の利益のために失う国益の大きさ」を考えなくてはならない。

 「強い農業」をつくるためにどういう取り組みが必要か考えるべきだ。規模拡大、コストダウンではない。品質が違うから「久留米のものを食べたい」という消費者が少々高くても買い、生産者を支えるということだ。

 地域の将来像を描き、皆さんが支える覚悟を決め、担い手を育てる。何が国益なのか、慎重議論を喚起してほしい。

=2011/03/30 西日本新聞=

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