西日本政経懇話会

久留米494回  「低投票率は民主主義の危機」、有権者「候補者は将来の議論を」 / 上智大の中野晃一教授が講演

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 西日本政経懇話会の12月例会が1日、久留米市であり、上智大国際教養学部の中野晃一教授(政治学)が安倍晋三政権の課題などをテーマに講演した。

2日公示の衆院選について、中野氏は「投票率の最低記録を更新する可能性が高く、このままでは形だけの民主主義になる」と指摘。将来を担う若い世代の投票を促すよう、中高年世代に積極的な役割を求めた。参加者からは「候補者は重箱の隅をつつくのではなく、将来を見据えた議論をしてほしい」などの注文が上がった。

 今回の争点となるアベノミクスについて、中野氏は「民主党政権やそれ以前の政権に比べ、経済政策として具体的に新しいことをやってみようという意味では意義がある」と話し、成果として株価の上昇を挙げた。

 だが、①多くの地方では成果の実感が伴っていない②雇用全体は増えているが、非正規雇用が増えて正規雇用は減っている③名目賃金は上がっているが実質賃金は下がっている―など、全体としては厳しく評価。「アベノミクスに、勝ち組と負け組、地域間格差、世代間格差に対応する再分配政策がないのが大きな問題だ」と強調した。

 安倍政権が掲げる地方創生や女性活躍については「首相が真剣に取り組んでいる気配が感じられない。地道に取り組んでいくなど本気度が問われる」とした。

 衆院選の投票率低下への懸念については、特に子育て世代など、将来の日本を担う世代の声が通りにくい現状を踏まえ、中高年世代に対して「若者の投票を促すため、子どもや会社の部下などに、投票にはとりあえず行くよう助言してほしい」と求めた。

 懇話会の参加者からは、衆院選への期待と注文が寄せられた。久留米市の主婦(66)は学校教育の中で、選挙の重要性をきちんと教える努力が必要と指摘。「選挙に行かない若者を責める前に、若者が自信を持てるような政策を実現させてほしい」と話した。

 大都市圏向けに家具を販売しているものの、アベノミクスによる恩恵をまだ感じないというのは、久留米市の小売業男性(40)。自営業の実家も消費増税前の駆け込み需要の反動で売り上げが落ち込んでいるとした上で「投票してもメリットがないと思って棄権するつもりだったが、投票しないと何も変えられない」と一票を投じることを誓った。

=2014/12/02 西日本新聞=

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