『水俣の記憶を紡ぐ』  下田健太郎 著  (慶応義塾大学出版会・5400円)

『水俣の記憶を紡ぐ』  下田健太郎 著  (慶応義塾大学出版会・5400円)
『水俣の記憶を紡ぐ』  下田健太郎 著  (慶応義塾大学出版会・5400円)
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 熊本県水俣市の水俣湾埋め立て地には52体の石像が立つ。地蔵、恵比寿、観音、中にはオタマジャクシの像も。地元の「本願の会」が1995年から立ててきた。その足元には、県の公害防止事業により水銀汚泥や汚染された魚介類が埋められている。本願の会はなぜここに石像を建てたのか。文化人類学者の著者は、2006年以降、延べ26カ月間現地調査し、人々が石像に込めた思いを紡ぎ出した。〈一九九〇年以降、「再生」のアピールを主眼にすすめられた埋立地の整備活用や水俣病の政治解決を前に、問題の収束を危惧した被害者たちは、法的・医療的・経済的「救済」では癒えなかった心情を表現するための場として埋立地を捉え直してきた〉。救済とは何かを考える誠実な試み。

=2018/03/11付 西日本新聞朝刊=

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