『奥八女山峡物語』  椎窓猛 著  (書肆侃侃房・1944円)

『奥八女山峡物語』  椎窓猛 著  (書肆侃侃房・1944円)
『奥八女山峡物語』  椎窓猛 著  (書肆侃侃房・1944円)
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 むかし山奥の村に千年という若者がいた。庄屋の父親が仕事を覚えさせようとするが、なんだかんだ理由をつけて働こうとしない。ついに見限られて家を追い出された。魚を捕りながら山で暮らしていたある日、足にけがをした娘に出会う。娘を小屋に連れていき熱心に看病した。何日かたったころ、見たことのない美しい魚を釣り上げた。娘に見せようと小屋に戻ったものの、姿がない。娘の正体は-。

 福岡県の奥八女地方を舞台にした創作民話集。エノハ(ヤマメ)の名の由来を巡る「エノハ変化」を始め、どの話も、沢を流れる水のきらめきや森の息づかいを感じさせる。米寿を迎えた奥八女の詩人は、女優の栗原小巻さんの思い出や終戦を告げる玉音放送を聞いた体験を交えながら、心のままに筆を走らせている。文学遍歴をつづる回想録『気まぐれ九州文学館』も同時出版した。

=2018/04/07付 西日本新聞朝刊=

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