『科学者と魔法使いの弟子』  中尾麻伊香 著  (青土社・2376円)

『科学者と魔法使いの弟子』  中尾麻伊香 著  (青土社・2376円)
『科学者と魔法使いの弟子』  中尾麻伊香 著  (青土社・2376円)
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 原子力はしばしば、魔法と関連づけられてきた。英国の科学者ソディは、放射性元素のラジウムを「アラジンの魔法のランプ」や「不老不死の薬」にたとえ、人間にラジウム溶液を飲ませてガイガーカウンターに反応させた仁科芳雄の公開実験は「放射性人間出現」と騒がれた。科学者が魔法の比喩を使い、メディアや市民も原子力を魔法として受け止める。そうやって、原子力は「内実についての十分な議論のない」まま、「人間の手に負えない存在」となったという。やわらかな文章で、世の中の「科学技術信仰」を突くエッセー集。著者は長崎大助教の科学史家。

=2019/03/30付 西日本新聞朝刊=

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