保育所の存続小説に 鳥栖市元職員の池尻さん 実話もとに「椿園物語」出版

椿園物語を出版する池尻有三郎さん
椿園物語を出版する池尻有三郎さん
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 鳥栖市下野町の元市職員池尻有三郎さん(80)が、地元の市立保育所に持ち上がった廃止の方針を地域が一体となって撤回、存続させた実話をもとにした小説「椿(つばき)園物語」を書き上げ、3月15日に出版する。池尻さんは「集落の絆がしっかりしていたからこそ保育所が存続した。地縁とは何かを考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 物語は2008年ごろ、市が地元にある市立保育所の廃止、民営化の方針を打ち出したが、地域住民が反対運動を展開し、廃止反対の請願を市議会が全会一致で採択、方針撤回に至る過程をもとに描いた。地域の一員だった池尻さんは、自らが詳細に残していた記録と、新たに市議会の議事録なども調べ、架空の町「鷺(さぎ)野ケ原」を舞台に1年がかりで小説にした。

 かつて壇ノ浦の戦いで没したとされる安徳天皇が、実は生き延びてこの地に身を隠し、住民たちが隠し通したという伝説も織り交ぜ、地縁による人々の結びつきの魅力を描いている。

 「昔は祭りの資金にするために住民たちで管理した田んぼがあったほど、結びつきが強かった。保育所がうるさいと苦情が出る時代になってきたからこそ、次世代の人たちに読んでほしい」と池尻さん。

 本には、北陸児童文学協会の童話集「つのぶえ」に応募し入選した童話も収録。池尻さんと交流があった鳥栖市出身の画家、杉本好守さん(故人)の作品を装丁に使っている。四六版、172ページ、文芸社刊で1296円。主要書店やネット書店で販売される。

=2018/02/21付 西日本新聞朝刊=

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