日田市の医師で作家 河津さん 発表作品再編し文庫本化 中短編 テーマごとに分け 4冊目「霧の町」で完結

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中短編を集めた河津武俊さんの文庫シリーズ。中央の「霧の町」は医療現場が舞台だ
中短編を集めた河津武俊さんの文庫シリーズ。中央の「霧の町」は医療現場が舞台だ
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 日田市の医師で作家としても活動する河津武俊さん(79)がこれまで発表した中短編の小説が、テーマごとに分けた4冊の文庫本として新たに出版された。出版社は福岡市の「弦書房」(小野静男社長)で、15日付で刊行された「霧の町」をもって完結。解説を寄せた作家が「いずれも時間を忘れて読み進められる」と評する力作だ。

 河津さんは福岡市生まれで、小中学校時代は熊本県小国町で過ごした。志賀直哉、谷崎潤一郎、芥川龍之介らの作品を読みふける文学少年だった。熊本大医学部を卒業後、九州大胸部疾患研究施設に入局。日田市での病院勤務を経て36歳で同市石井に内科医院を開業した。小説の取材、執筆は30代から医師としての激務をこなしつつ、続けてきた。

 昨年までに初期の作品「富貴寺悲愁」、直木賞作家の故藤本義一さんも絶賛した代表作「漂泊の詩人 岡田徳次郎」、熊本・小国地方の小さな村で起きた隠れキリシタン虐殺の真実を追ったノンフィクション「肥後細川藩幕末秘聞」の3作品を弦書房から文庫化。中短編小説も編集者や本人が読み直し、類似したテーマごとに分けて文庫に収める作業を進めてきた。

 4冊は、人間の生きざまを描きながら自然描写が印象的な作品を収録した「耳納連山」▽介護や年を取ることをテーマにした作品を集めた「山里」▽戦後の空気感が漂う作品が中心の「秋の川」。そして「霧の町」には自らの経験を踏まえて書いた医療現場が舞台の作品を収めた。それぞれに表題作が収録され、日田や筑後地方が主な舞台。

 シリーズ4冊が完結し、河津さんのほぼ全作品が文庫本で読めるようになった。河津さんは「どれも一生懸命に書いた。新聞記者が読んでも勉強になる作品ばかりですよ」。解説を寄せた熊本県八代市の作家前山光則さん(71)は「小説は、読んでいて時間を忘れられることが肝心。河津さんの作品はどれもそれができている」と絶賛だ。

 4冊はいずれも864円(税込み)。各地の書店で注文できる。問い合わせは弦書房=092(726)9885。

=2018/11/22付 西日本新聞朝刊=

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