一筆一筆引く緊張感 直せない魅力 初の個展を開催中 墨絵アーティスト 西元祐貴さん

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 墨絵アーティストの西元祐貴さんが初の個展を開催中です。今ではイベントでのパフォーマンスなど依頼が増えて全国を駆け回っていますが、活動を始めた頃は自ら自転車で作品を売り込みに行っていたそう。終始控えめな口調ながら作品に対する熱い思いがにじみ出ていました。

 -最初は公園で描き始めたそうですね。

 ★西元 絵の専門学校を卒業して、どうにかフリーでやっていきたいと思って自分の作品集を作った。でもどこに営業していいか分からず、とりあえず人前で描こうとロールで売ってる障子の紙をベニヤ板に貼って警固公園でアスリートの動きなどを描き始めました。

 -なぜ墨絵を始めた?

 ★西元 絵を描くのは幼少の頃から好きで、専門学校では油絵とかを描いてた。でも一つの作品を長い時間かけて描くのがちょっと苦手で。それでふと白と黒で描こうと思って100均の墨汁を買って描き始めたのが最初です。なので独学でやってます。

 -これまでずっと芸術の道を歩んできたんですね。

 ★西元 いえ。それが実は小学校から高校卒業するまでずっとサッカーをしてたので、まだサッカー歴の方が長い。スポーツ選手の躍動感や肉体美とかのモチーフが多いのもその影響です。

 -本格的に墨絵アーティストとして活躍するきっかけとなったのは、今回の個展でも大きな目玉となる「竜」の作品だそうですね。

 ★西元 おそば屋さんの天井に竜の絵を描いてほしいというのが最初にいただいたお仕事の依頼で、それまで竜は描いたことがありませんでした。そこで初めて竜を描いてお客さんから反響をもらって、仕事が広がっていきました。ちなみにその作品は今でもお店の天井にあります。

 -竜を描くのは好きですか。

 ★西元 好きですし、今では一番描きたいモチーフ。いろんな土地や、いろんな人との巡り合わせは竜がしてくれたのかなって。なのでこの個展のタイトルの「竜のキセキ」は「軌跡」とかけてます。これまでずっと描きためた作品も、この個展のために描いた新作も出すので。

 -実は、私は幼い頃から書道をしていて、高校時代には人前でパフォーマンスもしてました。ライブペイントって緊張しませんか。

 ★西元 そうなんですか!僕は海の中道でやってた「ハイアーグラウンド」(2012年)のオープニングで、約1万8000人の前でやったのが初めてでした。緊張はするけど良い緊張感があるほうが描ける。ずっとサッカーをしてたので試合に向かう感覚に近い。勝っても負けてもそこに結果が出る。墨絵も通じるものがあると思います。

 -毎回すごく集中力がいりますよね。息抜きはどうしてますか。

 ★西元 結構だらだらしてます。ゲームしたり本読んだり。昔はすごいストイックだったけど、最近はやりたいことやろうって(笑)。お酒も大好きです。

 -今はCGと組み合わせて描くのもありますよね。

 ★西元 もう僕すごい好きです、アナログなものと最先端のデジタルの融合。プロジェクションマッピングとかVR(仮想現実)、AR(拡張現実)も使ってます。今回の個展でデジタル技術がたくさん見せられるのも魅力の一つです。

 -墨絵の魅力は。

 ★西元 どうやってもやり直しがきかない。書もそうですよね。一筆一筆引く緊張感っていうのをその一つの作品に閉じ込めるのに躍動感を感じる。確かに墨のにじみやかすれとか技術的な良さもあるけど、やっぱり描き直せないことにすごく魅力を感じます。

 -今後の目標は。

 ★西元 福岡から全国、海外まで自分の絵を持って行き、たくさんの人に見てもらいたい。一方で、結局何で自分が描きたいのかっていうと、やっぱり見る人に何か影響を与えたいからなんです。たくさんの人が見てくれているからこそ一人一人にちゃんとメッセージを投げかけるような作品を作りたい。それが今の目標です。

 ▼にしもと・ゆうき 1988年4月6日生まれ、鹿児島市出身。2011年から福岡市内の公園で活動を始め、躍動感をテーマに作品制作を続けている。12年度には米国のコンテストで63カ国5300点におよぶ参加作品の中からワールドベスト作品を受賞。2月11日まで福岡アジア美術館(福岡市博多区)で個展「竜のキセキ」を開催中。


=2018/01/07付 西日本新聞朝刊=

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