カリスマに飽き 言葉の重要性知った BRAHMAN TOSHI-LOWさん 新アルバム「梵唄 -bonbai-」発売

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 バンド「BRAHMAN」(ブラフマン)が5年ぶりとなるアルバム「梵唄 -bonbai-」を発表しました。ハードコア、パンクサウンドだけでなく、スローテンポな曲も含んだ一枚は以前とは違った印象で、「孤高のミュージシャン」というイメージだったボーカル、TOSHI-LOWさんも意外に冗舌。変化のきっかけは東日本大震災でした。

 -「不倶戴天(ふぐたいてん)」はブラフマンらしい激しい曲。怒りに満ちた歌詞も印象的です。

 ★TOSHI-LOW 実際、社会にも、世間にも、むちゃくちゃ怒っていたので、歌詞でも怒れるだけ怒ろうとした。

 -歌詞にある「見物人が偉そうに意見」とは、東日本大震災のことでしょうか。

 ★TOSHI-LOW そう。俺は現場に行くタイプ。すぐに被災地でライブをやった。すると売名、偽善ってたたかれた。売名も何も、俺は10代のころから名前売るためにバンドやってるって。文句を言ってくるのは行ってもないやつだし。見物人に限って「あーじゃなきゃ」とか(了見の狭いことを)言う。

 -でも最後は「赦(ゆる)す」で終わってますよね。

 ★TOSHI-LOW 最後にあんな感じになるとは自分でも予想できなかった。でも怒っていた理由が「赦したかったんだ」って後で分かったんです。

 -映画「あゝ、荒野」(寺山修司原作)の主題歌になった「今夜」はスローテンポ。「怒涛(とう)の彼方(かなた)」は東京スカパラダイスオーケストラが参加。変化を感じます。

 ★TOSHI-LOW 中学の頃からの寺山ファンとして主題歌をやれてうれしかった。前は自分たちらしいとか、らしくないとか、しばりをかけていた部分があったし、4人で何が出来るか意固地になってやってきた。でも、いざ他の人とやってみると楽しいし、一緒にやっても自分たちは揺るがないことも分かった。

 -震災が転機?

 ★TOSHI-LOW 自分の限界ばかり探して、音楽をやめたがっていた時に震災が起きた。自粛ムードの中、ジャーンって鳴らしたんです。するとその瞬間に「あっこれじゃん」って。どんな世の中でも俺らはこのひずんだギターで歌を歌うことができる。あらためてそこに気付いた。

 -ライブではMCをするようになりましたね。

 ★TOSHI-LOW 被災地でライブをやった時、観客がどうしてよいか分からない顔をしていた。今までのように音楽だけぶつけて去ることもできた。でも一言かけようと思った。「おまえらには音楽が必要だろ。いつもみたいに暴れてこい」って言ったら、みんなが「ワー」って。言葉の重要性をあらためて知ったんです。

 -だからなのかカリスマ的なイメージも変わりましたね。

 ★TOSHI-LOW 昔は凛(りん)としたところを見せたかった。でも結婚し、子供もできて、保育園にも連れて行くのに、そうじゃないところを見せないといけなくて、ぐらぐら揺れていた。それが震災前。今はさらけ出しています。そっちの方が信頼されるし、友だちもできる。カリスマは飽きましたよ。

 -熊本地震、九州豪雨でもボランティアに来られたそうですね。

 ★TOSHI-LOW 俺が片付けた家のばあちゃん元気かなとか思うし、何回でも行きたい。熊本の農家の友だちもむちゃくちゃ多いです。

 -ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さんとヒートウェイブの山口洋さん=福岡市出身=が阪神大震災を機につくった「満月の夕(ゆうべ)」がアルバム最後の曲。1月に熊本であった「南阿蘇大復興祭」でも歌いましたね。

 ★TOSHI-LOW 震災後、岩手県のがれきの街に立つとこの歌が頭の中に流れてきた。音楽を辞めようと思っていた人間がもう一度向かい合うきっかけにもなった歌。東日本大震災、熊本地震を経験した俺たちの「満月の夕」があってもいい。世代を超えて誰が聞いてもいい歌だし、その歌を歌ってあげたら力になると思う。そのためのバトンとなる歌かなとも思ってます。

 ▼トシロウ 1974年、茨城県生まれ。95年結成のバンド「BRAHMAN」でボーカルを務める。これまで7枚のアルバムを発表。2015年にドキュメンタリー映画「ブラフマン」(箭内道彦監督)が公開。妻は女優のりょう。新作ツアーは、17日鹿児島市、19日熊本市、21日福岡市で。14、15日には「GAMADASE KUMAMOTO2018~熊本復興祭~」に参加。キョードー西日本=092(714)0159。

=2018/04/07付 西日本新聞朝刊=

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