人間的もろさ描いている 映画「ハン・ソロ」監督 ロン・ハワードさん

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 今から41年前に米国で第1作が公開されたSF映画「スター・ウォーズ」(SW)シリーズは宇宙を舞台にした壮大な物語で世界中のファンを魅了し続けています。その中で第1作から登場しているハン・ソロは名優ハリソン・フォードが演じてきた人気キャラクター。彼の若い時代を描いたシリーズ最新作「ハン・ソロ」を手掛けたのは、「アポロ13」などを撮ったロン・ハワード監督です。

 -監督として初めてSWに関わってどうでしたか。

 ★ハワード フィルムメーカーとして自分の感性をSWの世界に応用できるのはワクワクする体験でした。ただ、監督の視線でSWを見たことがなかったので、このシリーズがいかに世界を楽しませる深いさまざまなものを含んでいるか、あらためて発見しました。想像力、ユーモア、ハイテク、テーマ性…これら全てが一つになって実に楽しいアクションアドベンチャー映画になっているわけです。僕にとっては25本目の商業作品ですが、この年齢になっても学ぶことが多かった。

 -シリーズの生みの親、ジョージ・ルーカスさんは親友ですね。彼の感想は?

 ★ハワード 彼がSWの現場に来ることは通常、ないんですけど、今回は初日に来てくれました。静かに撮影を見ていて、ハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクさんが登場するシーンで、そっと体を寄せてきて「ハンはこういうふうにしないんじゃないかな」と僕に言ったんです。それで彼の言う通りにオールデンさんに演じてもらうと、ハンに見えたんです。その時に思い出したのがハリソン・フォードさんが以前、僕に言った言葉です。「全てを投入して演じたキャラクターだけど、これはジョージ・ルーカスが生み出したものなんだ」と。ハリソンさんは、オールデンさんの演技をべた褒めしていましたよ。

 -ハンはどんな人物ですか。

 ★ハワード SWの全てのキャラクターの中で最も人間的です。欠陥もあって、一番われわれに近い。自分の欲しいものは全て奪うんだという強欲なところと困った人を無視できないノーブル(高貴)な側面があり、その逆説的な部分にすごく面白さを感じます。

 -2作目「帝国の逆襲」のハンの名せりふのオマージュのようなやりとりも出てきます。従来の作品とのつながりを感じるシーンが随所に盛り込まれていますね。

 ★ハワード これまでの作品を見た人はハン・ソロが生き残ることは分かっていますから、エンタメ的なバリュー(価値)でいけば、どうしてこういう人間になったのか心理的な旅を提供する、ということになる。関わっているスタッフから既存の作品とのつながりを示すいろんなアイデアが出され、それを取り込んでいます。

 -監督もジョージ・ルーカスさんも黒澤明監督を非常に尊敬していますね。

 ★ハワード 「七人の侍」という映画はアウトローたちがノーブルな側面を急に表し、しかも、おセンチではなく、ワクワクする描かれ方をしていて、SWにものすごく影響を与えました。僕も黒澤作品に刺激を受けた一人で、メル・ギブソン主演で20年ぐらい前に撮った「身代金」は、「天国と地獄」が念頭にありました。

 -SWシリーズは善と悪が明確な作品が多い中、今作は善悪で割り切れない混然とした印象を受けました。ハン・ソロをはじめアウトローを中心に据えた作品だからでしょうか。

 ★ハワード それはあると思います。これまでのような戦争の話でもフォー
ス(超常的な能力)の話でもない。人間的なもろさをより描いたヒューマンな作品だからグレーな部分が多く見えるのかもしれません。これは脚本の段階からはっきりしていました。

 今回の作品はSWを見たことがない人が見ても大丈夫だよ、という映画です。若い人、SWを毛嫌いしてきた人にも初めて銀河の世界に足を踏み入れるのにはいい作品だと思います。

 ▼ロン・ハワード 1954年3月1日生まれ、米オクラホマ州出身。子役として俳優のキャリアをスタート、映画「アメリカン・グラフィティ」(73年)などに出演。「バニシングIN TURBO」(77年)で監督デビュー。「ビューティフル・マインド」(2001年)でアカデミー賞監督賞、作品賞を受賞。他の監督作に「グリンチ」(00年)「ダ・ヴィンチ・コード」(06年)など。

=2018/07/14付 西日本新聞朝刊=

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