柄本佑、映画作りにはまった反抗期 強烈な個性で存在感 最新主演作が公開

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 俳優の柄本佑さんは、朝ドラ「あさが来た」で屈折した無愛想な男を演じて強烈な印象を残すなど、近年、父親の明さんに負けない個性で存在感を際立たせています。私生活では、10月開始の朝ドラ「まんぷく」への出演をためらう妻の安藤サクラさんを後押しして話題に。良き夫ぶりでも注目される柄本さんに、家庭や仕事の心構えについて聞きました。

 -最新作の映画「きみの鳥はうたえる」(九州では15日以降、福岡市のKBCシネマなどで上映)は石橋静河さん、染谷将太さんと組み若者3人の夏を描いています。柄本さんは「僕」という役でつかみどころがない人物ですね。

 ★柄本 名前のない役は初めてでした。僕って何だろうとか誰も彼も僕だし、みたいな感じで今いち分かんなくて。でも、演じているうちにうそのない男だと気付いた。人を真っすぐ見るとか直線を意識してやりました。

 誠実さって人によって異なるんですよね。「僕」は石橋さん演じる佐知子と付き合うんですが、元カレから「佐知子のこと大事にしてくれ」と言われたことを打ち明け、「何か言ったの」と尋ねられる。彼女は何か言ってほしかった。でも「僕」はあえて何も言わなかった。誠実だけどチョイスを間違う。そんなことの重なりから至るラストが面白い映画です。

 -トークショーなどでの柄本さんは率直で誠実に話しますね。

 ★柄本 えっ僕が? 子どもが生まれてから自分が一番じゃなくなったのが大きいかもしれない。昔は自意識過剰でした。でも、結婚して半分ガードがなくなり、子どもが生まれて今はノーガード戦法。どう思われてもいいやと思えるようになりました。

 -両親と同じ職業を選んだのは親子の仲がいいからでしょう。

 ★柄本 どうですかね。映画好きな家族で、特に父親は映画以外の話が皆無、子どもにあまり興味がなかった。「学校はどうだ」なんて聞かない。僕は映画をいっぱい見てストックを作り「これ見たよ」と言うと食いつく。おかげで僕も映画好きになりました。

 母ちゃん(角替和枝さん)も普通の会話をする家族に憧れてたんでしょうけど、天然なところがあってゲーマーなんですね。僕らを怒る時にマリオとかゼルダとか話題に出してくるような人です。

 -じゃあ、なぜ俳優に?

 ★柄本 母ちゃんのマネジャーがいつの間にか黒木和雄監督の「美しい夏キリシマ」のオーディションに応募していたんです。面接に呼ばれ、母ちゃんに「どうせ落ちるけど、監督が生で見られるよ」と言われた。監督には憧れていたから「確かに」と面接に行ったら出演が決まったんです。

 反抗期に突入していた頃で、映画に出ていなかったら「おやじは俺に興味ねえのかよ」なんてぶつかっていたかもしれない。親元を離れて2カ月間、えびの(宮崎県)のロケで知らない大人たちの中に放り込まれ、一気に老けて帰ってきた。反抗してる場合じゃねえなと映画作りにはまりました。

 -サクラさんの「まんぷく」出演を応援した話は「あんな夫がほしい」と評判になりました。

 ★柄本 本人は当初「こんな話をもらったんだ」って残念なそうな顔をしていました。子どもを抱えてますからね。僕は「1回アホなふりしてやれる方向で考えてみなよ」と言ったし、うちの母ちゃんは「その話を断るんだったら女優やめろって言った」と話してましたけどね。家族レベルで出てもらいたいなということです。

 -リリー・フランキーさんが映画「万引き家族」で共演したサクラさんを「ちゃんとした人からしか出てこない狂気がある」と評していました。夫婦、似ていますね。

 ★柄本 専門学校を卒業した後、同級生はサラリーマンになってスーツを着ているのに、自分は社会と関わりがないような不安を抱えたんです。それでやり始めたことが生活を正す。掃除、洗濯、自炊、日常をおざなりにしていたらこの仕事はやれない、地に足の着いた感覚を大事にしようと。

 それと弟の時生と1~2年に1回、自主制作の二人芝居をやってるんです。俳優はいつ仕事がなくなるか分からない。よりどころがあると勇気が湧いてくる。原点を確認する場所が大事だと思ってます。

 ▼えもと・たすく 1986年生まれ、東京都出身。「美しい夏キリシマ」(2003年)で主演デビュー。伝説の雑誌編集者を描いた映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」(18年)やドラマ「ゲゲゲの女房」(10年)「あさが来た」(15~16年)などに出演。監督としては短編映画「ムーンライト下落合」(17年)などを発表。11月に主演映画「ポルトの恋人たち 時の記憶」の公開を控える。

=2018/09/08付 西日本新聞朝刊=

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