鉄道の仕事の合間に音楽…? 25年ぶりソロアルバムとツアー 向谷実さん

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 フュージョングループ「カシオペア」の元メンバーで、鉄道ファンの向谷実さん。10月に25年ぶりのソロアルバムを出し、11月には福岡を皮切りに全国ツアーもあります。ミュージシャンが本業だったはずですが、最近では鉄道関連の仕事で多忙を極めているようです。

 -今回のツアーを企画したきっかけは。

 ★向谷 「音楽館」という会社の社長として、鉄道関係の仕事をしています。運転士や車掌の訓練に使うトレインシミュレーターを販売したり、列車の発車音を作ったり。でも、このままだと本当に鉄道関係だけになる。自分なりの音楽を出したいな、と。今年の正月に思い立ったんです。先にコンサート会場を押さえて、逃げ道を断ちました。経営者として仕事をしていると、そういう時間をとるのが難しい。で、日米のミュージシャンを集めてジャズフュージョンのライブを企画しました。

 -すっかり鉄道が本業のようですが、アルバムも出ますね。

 ★向谷 せっかくライブをやるなら、同じメンバーでアルバムも作ろう、と奇跡的に8月上旬にスケジュールが合いました。米国・ロサンゼルスでレコーディングしたのですが、選んだスタジオは昔、フランク・シナトラが歌った場所。CDにするための音の調整なども全部ロサンゼルスで完結しました。アコースティックの音の比率を高くして強弱をつけたので、聴き込んでいただけるのではと思います。

 実はレコーディングを8月にしたのも、この時期は仕事の量が少なく、日本を離れても大丈夫、と考えたんです。

 -ツアーとアルバムに違いはありますか。

 ★向谷 ツアーはお客さんの反応に演奏が影響を受けますので、半分ひやひや、半分どきどきしてます。ミュージシャンのノリで、CDとは少し違うかもしれず、「2回おいしい」のではないでしょうか。

 -鉄道関連の仕事との両立は。

 ★向谷 会社はアルバイトを含め社員が約80人います。これまで自分が細かく関わってきましたが、「僕がいないと成り立たない」というのは正常じゃないな、と。経営もしっかりやりつつ、ちゃんと音楽もやる。僕が両立することで、社員にも刺激になるのではないでしょうか。

 -ところで駅のホームドアを手掛けていますね。

 ★向谷 JR筑肥線の九大学研都市駅で下りホームにうちのホームドアがあります。駅で働いている方にも好評だそうです。うちのホームドアは、JR九州の青柳俊彦社長との雑談で生まれたんですよ。青柳社長が「通常のホームドアは重い」と言ったとき、偶然、指を組み合わせていて「バーを左右に動かす方法はどうか」と思いつき、翌日には完成予想図を送りました。その後特許も取りました。

 -列車の発車音や車内メロディーも数多く作曲しています。

 ★向谷 最初は、2004年に九州新幹線が新八代-鹿児島中央間で部分開業したとき、青柳さんから頼まれました。それで九州新幹線を見学した他社の方にも依頼されて。これまで車内のBGMを含め200曲以上になります。10秒とか4秒とか制約があって、でもメッセージが必要です。通常の曲と、生み出す手間は同じですね。

 -お気に入りの曲は。

 ★向谷 熊本駅の新幹線の発車メロディーは、ご当地の「おてもやん」をアレンジしてます。熊本の人だと分かる、東京の人は分からない。個性的なアレンジになったかなと思います。

 -カシオペア時代、ツアー会場に1人だけ鉄道を乗り継いで行っていたそうですね。今回のツアーでは…?

 ★向谷 博多から新大阪まで新幹線で戻ります。JR九州の車両に乗れば、車内メロディーが流れるので、他のメンバーに「僕の作った曲だよ」と自慢できますね(笑)。

 ▼むかいや・みのる 1956年生まれ。カシオペアのメンバーとして79年にデビュー。日本のフュージョンを代表するグループとして活動。2012年脱退。社長を務める「音楽館」は1985年設立。今回のツアー「East meets West 2018」の福岡公演は11月12日午後7時から、福岡市博多区のJR九州ホールで。BEA=092(712)4221。

=2018/09/22付 西日本新聞朝刊=

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