アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 滑稽だがやるせない「会議映画」

(C)eOne Films (EITS)Limited
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 ロングランヒット中の「シン・ゴジラ」は、「怪獣映画」というよりも「会議映画」だった。東京湾に出現した巨大不明生物(ゴジラ)を巡って、日本政府の要人がどう意思決定するのか(できないのか)をシミュレーションしてみせた。本作もまた「会議映画」だ。ただし、荒唐無稽さはなく、現実の「対テロ戦争」の意思決定の過程をリアルに再現する。

 英米合同のテロリスト捕獲作戦で、凶悪なテロリストたちが潜むケニアの隠れ家を突き止めた英軍情報機関のパウエル大佐(ヘレン・ミレン)。国防相のベンソン中将(アラン・リックマン)に連絡し、国家緊急事態対策委員会が開かれる。

 昆虫の姿をした超小型ドローンなどから届く隠れ家内部や周辺の映像を通じて、テロリストたちが自爆テロを準備していることが判明。任務は殺害作戦へと一気に緊迫化する。隠れ家をミサイル攻撃する準備をするのはケニアから離れた米ネバダ州の米軍基地にいる兵士たちだ。隠れ家前にはパンを売る少女がいる。殺傷圏内に民間人、しかも幼児がいることで対策委の議論は紛糾する。その間にもテロ危機は迫る。

 緊迫の「戦場」をよそに、攻撃する場合の法的根拠や政治的影響などを延々と議論する対策委の高官の姿は「シン・ゴジラ」の日本政府と変わらず滑稽だが、こうした意思決定が現実に日々行われていると思うとやるせない。

 ▼TOHOシネマズ天神など


=2017/01/15付 西日本新聞朝刊=

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