料理は一番身近な化学実験!? 調理にはこんなに科学的な裏づけがあった

料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム 斎藤勝裕著
料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム 斎藤勝裕著
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 日頃何気なく行っている「料理」。アクを取ったり、しょうゆや酢などの調味料を駆使して味付けをしたり……。しかし、なぜアクを取るのか、そもそもアクとは一体全体なんなのか、しょうゆや酢を加熱することでどういう変化が起こっているのか、答えられるだろうか?

 『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』は、料理について科学的にひも解いたものだ。もちろん著者である齋藤勝裕氏も料理研究家などではなく、有機化学や物理化学を専門とする理学博士。生粋の理系だ。

 著者によれば、料理を作るという行為は化学実験と同じだという。素材や調味料を重さや体積で量って鍋に入れ、加熱して変化させ、素材に合わせて器に盛りつける。熟成や保存についても、食材を変化させる、あるいはさせないということを目的にしていると考えると、なるほど実験のように思える。科学の知見から見た料理の工程は奥深く、かつ先人達の知恵を感じさせるものばかりだ。

 たとえば冒頭で話題にしたアクについてだが、アクとはそもそも食材の水溶性成分が溶け出した後に、加熱されて固まったものだという。植物性の食材なら植物性タンパク質や食物繊維の一部、動物性の食材なら血やリンパ液などだ。したがってアクそのものに有害な点はないし、栄養の観点からいえば取らない方がよいくらいだが、料理は五感で味わうもの。栄養よりも、視覚的な美しさを優先してアク取りが行われるのだ。

 他にも「しょうゆは基本的に食塩の水溶液。加熱を続けると水分が蒸発し、塩辛くなってしまうので気をつけるべし」「酢の沸点は118℃。水より高いので加熱すると水が先に沸騰して蒸発し、酸味が強くなる」といった豆知識がエビデンスとともに語られる。「料理を科学的に分析する」というテーマのため、化学式や専門用語も目白押しだが、グラフや付記されているコラムのおかげか不思議と難しさは感じない。普通のレシピ本だけではうかがい知ることのできない、料理の新たな側面を学べる貴重な一冊だ。


出版社:SBクリエイティブ
書名:料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム
著者名:斎藤勝裕
定価(税込):1,080円
税別価格:1,000円
リンク先:http://www.sbcr.jp/products/4797391848.html


西日本新聞 読書案内編集部

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