スマホのしすぎで低下した脳の働きを、回復する方法とは!?

その「もの忘れ」はスマホ認知症だった
その「もの忘れ」はスマホ認知症だった
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 朝から晩までスマートフォンをいじっている。今の時代、多くの人がそうかもしれない。なにしろ便利だ。調べたいことは一瞬で検索できるし、SNSで友人といつでもチャットできる。翻訳アプリがあれば外国語の通訳までしてくれる。しかし、この「魔法の箱」に頼り切っていると、脳の働きが退化してしまうと、本書は警鐘を鳴らしている。

 著者は岐阜で「おくむらクリニック」を運営しており、ここには「もの忘れ外来」という独特な診療科がある。この診療を希望する人が全国から来院し、患者の数はのべ10万人を超える。大半は認知症やもの忘れの多さが不安になってきたお年寄りだが、最近は30代から50代の来院者も増えているというから驚く。「大事な会議があることをすっかり忘れていた」「取引先の担当者の名前が出てこなかった」といったことがしょっちゅう起こり、自分の頭の状態が心配になって来院してくるのだとか。

 こうした症状は、脳が疲れ切っている「脳過労」のせいで起こっていると著者は言う。そして、その原因になっているのがスマホなのだ。あらゆる情報が瞬時に入手できる「魔法の箱」。その便利さゆえにスマホ漬けになっていると、インプットする情報量の処理が追い付かず、脳過労に陥る。加えてスマホの光、いわゆる「ブルーライト」も体のリズムを狂わし、睡眠トラブルを誘発する。著者はこうした状態を「スマホ認知症」と名付け、警鐘を鳴らしている。正式な病名ではないが、インパクト十分のネーミングだ。

 本書の冒頭には、30項目のチェックテストがある。「スマホは、どんなときもすぐに手に取れる場所にある」「ここ数年、昔よりも記憶力が落ちた」「慢性的な睡眠不足である」などなど。20項目以上にチェックがあれば、スマホ認知症の危険度大である。

 とはいえ、著者は決してスマホを使うことを否定しているわけではない。使うことで仕事や生活が向上するのであれば、どんどん使うべきと考えている。大事なのは、健康を害さないように上手に付き合うこと。スマホやパソコンと距離を置き、脳を休ませる時間を確保することが大切だと言う。

 本書の最終章では疲れた脳の回復方法にも触れている。実践すれば、スマホという強力なサポート役を得て、脳はいっそうの力を発揮してくれるはず。道具に身を滅ぼされるのではなく、道具を使うことで人生を豊かにしたいものである。


出版社:青春出版社
書名:その「もの忘れ」はスマホ認知症だった
著者名:奥村歩
定価(税込):950円
税別価格:880円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/19044/


西日本新聞 読書案内編集部

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