もし過去に戻ることができるのなら、あなたはどんな未来を選びますか?

あなた、そこにいてくれますか ギヨーム・ミュッソ 著 吉田恒雄 訳
あなた、そこにいてくれますか ギヨーム・ミュッソ 著 吉田恒雄 訳
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 舞台は1976年のアメリカ。30歳のエリオットは理想家肌の医師で、充実した日々を送っていた。彼にとって運命の女性である恋人のイレナや、何でも分かち合える親友のマットもいて、やりがいのある仕事があった。そこに突然、2006年から来たという60歳のエリオットが現れる。医療ボランティアでカンボジアを訪れた60歳のエリオットは、赤ん坊の手術をしたお礼に、不思議な老人から過去に戻ることができる薬を受け取る。その薬を飲み30年前にタイムスリップしたのだと30歳のエリオットに告げる。

 エリオットがタイムスリップした理由は、30年前に死んだイレナにひと目会いたかったからだ。30歳のエリオットは当然イレナを失うことを受け入れられない。一方、60歳のエリオットは独身のまま授かった愛娘を失いたくない。最愛の恋人を救うのか、最愛の愛娘を護るのか。かくして2人のエリオットは過去と未来を変えるために最善の策を模索していく。

 「過去に戻ることができるのなら―」「やり直しがきくのなら―」誰もが一度は自分に問いかける質問だろう。しかしながら現在は過去の積み重ねであるため、仮に過去に戻り人生を変えることができたとしても、タイムパラドックスが起こる。本書は一見タイムトリップもののラブロマンスに見えるが、真の見どころはタイムパラドックスを含みながら、最小限の矛盾で過去から未来へ時間軸を展開していくところだ。著者、ミュッソの牽引力には目を見張るものがある。サスペンスとファンタジーが絡み合い、読者は一度手にしたら読み終わるまで本を手放せなくなることだろう。

 本書は2006年にフランスで発表され、世界30か国でベストセラーを記録し、ミュッソの代表作と称されるようになった。そして2016年、当初伝えられていたフランスではなく、韓国で映画化されて大変な興行成績を上げているという。日本では2017年10月14日から全国の映画館で順次上映される。映画を見てから本書を手に取るもよし、本書を読んでから映画を見るもよし。「過去に戻ることができるのなら、人生の何を変えたらいいのか?」という問いかけは、あなたの心を掴むことだろう。


出版社:潮出版
書名:あなた、そこにいてくれますか
著者名:ギヨーム・ミュッソ 著 吉田恒雄 訳
定価(税込):1,000円
税別価格:926円
リンク先:http://www.usio.co.jp/html/books/shosai.php?book_cd=4156

西日本新聞 読書案内編集部

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