手のひらサイズの「名画の事典」。この1冊があれば「印象派」絵画のすべてがわかる!

『代表作でわかる 印象派BOX』冨田章著
『代表作でわかる 印象派BOX』冨田章著
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 手のひらに乗るコンパクトなサイズながら、ページをめくるごとに目に飛び込んでくる印象派の絵画の数々。その総数は150点におよぶが、1点ごとに著者の的確な解説がついているので、絵を眺めると同時に、読む楽しみ、知る楽しみもあるのが本書の特色だ。まさに「名画の事典」であり、絵画鑑賞の入門書として絶好の1冊である。

 冒頭の約10ページで、「印象派とは何か」が解説されている。「印象派って絵画の流派ですよね?」ではじまるQ&Aあり、印象派の画家たちの相関図あり、印象派MAP(パリ編・フランス全土編)ありと、立体的に「印象派とは何か」が明かされていく。ここで絵画を見る前の予備知識をしっかりと仕入れることができるのはありがたい。

 本編の構成は、印象派の先駆者である写実主義の絵画(マネを中心に、コロー、ミレーなどの作品)からはじまり、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガといった印象派、さらにポスト印象派(セザンヌ、ゴーガン、ゴッホら)、そしてフランス以外の印象派の画家たちとその作品がとりあげられる。このような順で絵画を眺めていくと、自然の風景を克明に描いていた写実主義から、色彩豊かに戸外で揺らめく光を描く印象派へと、技法や作風が大きく変化するのが手にとるようにわかる。これは一人の画家の作品を集めた画集にはない、「名画の事典」ならではの楽しみ方といっていいだろう。

 ところで、本書のページをめくりながらあらためて教えられたのは、印象派の画家たちが19世紀のヨーロッパ市民社会のブルジョア層や労働者たちの現実生活も描いたということ。光や影のあつかい方という絵画の技法的革新だけではなく、印象派の画家たちは主題的革新をもたらした「社会派」の一面ももっていたのだった。

 カバンの隅に収まるサイズということもあり、フランスを、なかでもパリを旅行する方にとっては本書が「よき美術ガイド」になるだろう。でも、巻末にある「印象派に出会える日本の美術館」によれば、国内だけでもずいぶんと多くの印象派の絵画を鑑賞できることがわかる。本書を片手に持ちつつ、次は「本物」を眺めにいきたいものだ。


出版社:講談社
書名:代表作でわかる 印象派BOX
著者名:冨田 章
定価(税込):2,160円
税別価格:2,000円
リンク先:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062209113

 西日本新聞 読書案内編集部

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