NASAの現役技術者が語る宇宙探査史と地球外生命探査の最前線

『宇宙に命はあるのか』小野雅裕著
『宇宙に命はあるのか』小野雅裕著
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 あなたは宇宙に関する最新の知見をどの程度もっているだろう? たとえば、「火星人っていると思いますか」
という質問をしたら、笑うだろうか。そんなものはいないに決まっていると。ところが、宇宙探査の最先端にいる人たちの答えはおそらくちがう。さすがに、例のタコ型宇宙人の類はいないだろうが、生命体は存在するかもしれないのである。

 それどころか、地球に生命が誕生したとされる約40億年前は、火星も地球とおなじように水のある惑星だった。現生生物も地下にならいるかもしれない。さらには、木星や土星の惑星には、海や火山があり、タコ型人類はいなくとも、タコに似た生物ぐらいだったらいる可能性も否定できない。じっさい、NASAはそのひとつ、惑星エウロパを探査する計画を進めており、その前段階として2020年に火星で生命をさがす。ひとまずは現生生物ではなく、過去の生命の痕跡探しであるが。

 科学者ではなく技術者として、その計画に参加している日本人の著者が宇宙探査史から最新の研究成果まで、門外漢にもわかるように記したのが本書だ。

 第一章と第二章は「ロケットの父」やアポロ計画といった、いまでは「歴史」と言ってもいい話であり、第三章で比較的最近のニュースが出てくる。ただ、そのときは「カッシーニ」だの「いとかわ」だのと騒いでも、けっきょくはなんだったのかウヤムヤなままという人も多いと思う。そのあたりの意義や成果がコンパクトにまとめられている。といって、無機質な記述ではなく、エピソードも折りにふれて出てくる。とくに、175年に1度の「運命」を発見したことからスタートする「グランド・ツアー」計画が興味深い。実現にこぎつけるまでの地味な苦労からボイジャー1号・2号という双子の探査機に隠された仕掛けまで技術者たちのドラマがつまっている。

 第四章にいたると、生命と非生命の見分け方といった少々むずかしい話も出てくる。が、著者がリアルタイムでかかわっている部分の話なので、おもしろい。火星から砂を持ち帰るには「いとかわ」とちがって、3段階の仕組みがいる。地表を自走するローバーは80kgしか荷物を積めず、コンピューターのCPUは1997年のiMacと同じ型。もし、火星に行く機会があっても地面は素手でふれない方がいい……などなど。その理由や解決方法について、ここに詳述する余裕はない。つづきの気になる方は本文で。


出版社:SBクリエイティブ
書名:宇宙に命はあるのか
著者名:小野 雅裕
定価(税込):864円
税別価格:800円
リンク先:http://www.sbcr.jp/products/4797388503.html

西日本新聞 読書案内編集部

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