「組織を活性化させたい人」に広くおすすめできる変革のための書

『そこそこ成長する人、ものすごく成長する人』シビル・チョウドリ著
『そこそこ成長する人、ものすごく成長する人』シビル・チョウドリ著
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 「もっと自分を成長させたい」、「組織を活性化させたい」、そんな願いを持つ人に、「マインドセット」という「気づき」を教えてくれるのが、“THE DIFFERENCE (違い)”という原題をもつ本書である。著者がどんな“違い”を問題にするのかといえば、その一例が「会社の廊下に、使いおえた『爪楊枝』が落ちていたら、どうするか」、その行動である。この問いかけにあなたならどう答えるだろうか?

 著者は有名な経営コンサルタント。クライアント・リストに名だたる企業や産業界のリーダーが名を連ねているという。「落ちている爪楊枝」をめぐって彼が問題にするのは単純な道徳観などではなく、異なる2つの「マインドセット(心構え)」だ。1つは爪楊枝になど気にもとめない「無関心マインドセット」であり、もう1つが、爪楊枝を拾って捨てる「ケアリング・マインドセット(気配りの心構え)」である。経営者や社員がどのような「マインドセット」を持っているかによって、その企業の成功も左右されるというわけだ。

 もちろん「ものすごく成長する人や組織」の背後にあるのは「ケアリング・マインドセット」である。本書のミソは、ケアリング・マインドセットの必要性を説いて終わるのではなく、後述の4つの要素を良好な人間関係を導く行動規準として詳しく説明してくれるところである。第2章以降で1章ずつを使って説明される4つの要素は、「率直さ」「無私無欲の思いやり」「行動で責任を果たすこと」、そして「状況を改善しようとする覚悟」である。この4つで構成される「マインドセット」によって、人から好かれ、信頼と共感によって良好な人間関係を持つことができる。

 本書のタイトルは、ビジネスマンが出世するためのハウ・ツー本を連想させるが、そんな浅薄な本ではない。組織を活性化させたい、気持ちよく仕事をしたい、そうした課題への表面的な処方箋ではなく、本質的な改革のヒントを与えてくれる。企業はもちろんのこと、活動が停滞しがちで悩んでいる町内会長さんとか、メンバーの無関心が目立つPTAの役員さんなど、身近な組織や活動を活性化させたい多くの人たちにもぜひ一読をおすすめしたい。


出版社:双葉社
書名:そこそこ成長する人、ものすごく成長する人
著者名:シビル・チョウドリ
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-31346-8.html?c=31800&o=date&type=t&word=%E3%81%9D%E3%81%93%E3%81%9D%E3%81%93%E6%88%90%E9%95%B7%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA

 西日本新聞 読書案内編集部

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