絶対王者、羽生結弦の言葉に魂を揺さぶられる唯一無二のインタビュー集

『夢を生きる』羽生結弦著
『夢を生きる』羽生結弦著
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 2018年2月、一人の青年が世界を驚かせた。平昌オリンピック、フィギュアスケート男子シングルで羽生結弦が金メダルを獲得、2014年ソチに続いて2大会連続の金メダルを獲得し、男子では66年ぶりの偉業を達成した。羽生が取った金メダルは冬季五輪の記念すべき1000個目の金メダルでもある。

 ソチオリンピックで世界の頂点に立った後、自身のもつ世界最高得点を幾度も更新し、理想の演技を究め続けた2015―18年。本書は、その成長の軌跡を本人が語り尽くす最新インタビュー集で、フィギュアスケート誌『アイスジュエルズ』で連載されていたものが中心で、プログラムの構成やジャンプの技術論など、すべてスケートのことで埋め尽くされている。3月1日の刊行で累計15万部を突破している。

 歴代のプログラムで使用されたコスチュームやオフショットなどのカラー写真もふんだんに収録されているものの、専門的なフィギュアスケートの用語なども盛り込まれており、内容はなかなか濃密なものとなっている。このような専門的な本がヒットしているのは、オリンピック効果もあるだろうが、最大の要因は、羽生本人の言葉で語られているからに違いない。あとがきに涙したという感想を寄せる人も多い。

 「いろいろな幸せを捨ててきた。幸せの結晶を求めてきた。だからこそ、今幸せと言える」。平昌オリンピック後、各種インタビューでこのように語る羽生の姿を記憶している少なくないだろう。『羽生結弦という生き方』は羽生結弦にしかできない。だが、それは誰しも同じではないだろうか。誰もが夢を追い、信念を持って人生を生きている。そこには自分にしかできない生き方があるはずだ。

 ソチオリンピック以降、どんな思いで戦い、どんな想いで演じていたのか。羽生がどれほど試行錯誤を繰り返していたのか、わずかばかりでも知ることができる一冊である。ファンはもちろん羽生結弦に感動したすべての人にぜひ手に取っていただきたい。


出版社:中央公論新社
書名:夢を生きる
著者名:羽生結弦
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:http://www.chuko.co.jp/tanko/2018/03/005049.html

 西日本新聞 読書案内編集部

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