心を軽くしたいときに読みたい、珠玉の寂聴語録

『愛することば あなたへ』瀬戸内寂聴著
『愛することば あなたへ』瀬戸内寂聴著
写真を見る

 90歳代半ばを迎え、ますます意欲的に活動し、人々に愛され求められる存在であり続ける瀬戸内寂聴氏。本作は、著者の著作・法話・対談等から、「男と女」「くるしみ」「しあわせ」「わかれ」「さびしさ」「いのり」という「愛」にまつわる6つのテーマで、著者自身が加筆・再構成した、珠玉の寂聴語録である。

 「純愛は全部失う。それくらいの覚悟がないと、純愛だなんていってはいけない」「自分の人生を大切にしてこそ、他人のことを大切にできる」「幸運は、陽気でユーモアが大好きだ」など、数々の名言が登場。どのページから開いても、 著者の人としてのスケールの大きさ、心の温かさに包まれることだろう。

 不倫やセックス、裏切りや執着、恋や愛をきれいごととしない姿勢に驚かされるのもしばしば。他の人にはなかなか真似のできない生き方をしてきた著者ならではの視点から赤裸々につづられる言葉は、読み手の心を突くのではないだろうか。

 人間は愛ゆえに苦しみ、しあわせを感じる。別れのさびしさや孤独を味わうのも、愛があるからこそ。人生のつらいこと、悲しいこと、嬉しいこと、全部知ってなお、明るく前向きに、情熱的に生きる著者だからこそ心ひかれる人も多いのだろう。自由に本能のまま生き、その生き方を自分で素直に認める様は潔く心地いい。

 「生ぜしもひとりなり、死するもひとりなり。されば人と共に住するも独りなり。そいはつべき人なき故なり」。本作にも載っている一遍上人のこの言葉が一番好きだと、過去のテレビ番組で著者が述べていた。人間の根底には「孤独がさびしい」という気持ちがあり、本能的に「わかってほしい」「わかり合いたい」という強い願望を持っている。しかし、人間は孤独、怖いものは何もないと知ることができれば、気持ちも楽になることだろう。

 生き方に迷い先行きへの不安を感じたとき、行き場のない感情を持て余すときに、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。他の誰のものでもない、自分自身の人生を突き進むための勇気をもらえる一冊だ。


出版社:光文社
書名:愛することば あなたへ
著者名:瀬戸内寂聴
定価(税込):994円
税別価格:920円
リンク先:https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334950224

 西日本新聞 読書案内編集部

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]