「佐賀のがばいばあちゃん」を生んだ人気脚本家が教える“幸せの哲学”

『「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」』旺季志ずか著
『「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」』旺季志ずか著
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 「佐賀のがばいばあちゃん」「女帝」「屋根裏の恋人」「ストロベリーナイト」。どれも大人気ドラマのタイトルだ。見たことがなくとも題名は聞いたことがあるという人も多いだろう。テレビ離れが叫ばれる中、冴えわたる「毒」と人間関係のリアルな描写でこれらの人気ドラマを生み出したヒットメーカーが、脚本家・旺季志ずか氏だ。

 本書は旺季氏がデビュー以来20年あまりの間に作り上げてきたドラマの名セリフを厳選し、それに合わせてエッセイを書き下ろしたものだ。「人間関係」「恋愛」「家族」「仕事」「豊かさ」「自分を大切にする」の6つのテーマに分かれている。

 たとえば、「ひとりでいることを楽しめたとき、はじめて、ほかの人とも楽しく、共にいられるのだと思う……」というセリフ(連続ドラマ「桜からの手紙~AKBそれぞれの卒業物語~」より)。著者は「ひとりぼっち」について「『ひとり在(あ)る』とする表現に出会い、ドキリとした」と述べている。「ひとりぼっち」には寂しい印象がつきまとうが、「ひとり在る」からは凛とした立ち姿が見える。集団の同調圧力を息苦しく思う人にとって、これほど心強い言葉はないだろう。

 また、「『信じたい』という気持ちの裏には、必ず不信の種がある」(連続ドラマ「屋根裏の恋人」より)にも考えさせられる。これは”ダメンズ”に苦しめられていた旺季氏の実体験から出たもので、「不安があるからこそ、『信じている』という言葉で自分の気持ちにふたをしている」ということだそう。それに気づき、自分の感情をごまかさずに受け入れることから幸せが始まるのだと説いている。

 彼女の考え方の根底にあるのは、“自分の心(想い)が現実をつくる”という哲学。貧乏や子どもの不登校、婚約者との共依存関係といったドン底を経験しつつも、心理学や瞑想(めいそう)、催眠療法を学び「今どれほど悲惨で不幸でも、心のあり方ひとつで人生がひっくり返る」という考えにたどりついたそうだ。それが作品を通して視聴者一人一人の胸を打つからこそ、ヒットを次々生み出せるのだろう。

 本書で取り上げられているセリフの中で筆者が一番好きなのは、「不幸だからこそ飛べることってあるよね」(連続ドラマ「バラ色の聖戦」より)だ。「人間は自分の目を醒(さ)まし、本当の望みを明確化させるためにショッキングな現実を創り出す」という力強いメッセージに、前を向く勇気が湧く。


出版社:学研プラス
書名:「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」
著者名:旺季志ずか(オウキシズカ)
定価(税込):1,404円
税別価格:1,300円
リンク先:https://hon.gakken.jp/book/1340663700

 西日本新聞 読書案内編集部

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